天帝(てんてい tian1di4 ティエンディ)
中国の天帝とは三界と万物を統治する帝王で、昊天上帝とも称されます。歴史上天帝は王朝や思想などで異なったため様々な変遷を遂げており、どの神を指しているか諸説あります。
古代にあったとされる夏王朝では伏羲や神農氏、黄帝などを奉っていたと考えられています。商王朝になると、天帝は玄鳥、帝嚳となりました。
周朝以降から唐朝に到るまで東皇太一が奉られており、宋朝に到ると皇帝の真宗は玉皇入夢と称し、道教が儒教の昊天上帝と融合して玉皇大帝と尊称され、西遊記の流行により西遊記に出てくる玉皇大帝が広く認識されるようになりました。
古代中国では、人々は部落連盟の首領を天帝を尊称したと言います。すなわち、伏羲、神農、黄帝、顓頊、帝嚳、唐堯などで、これらの古代の帝たちは先秦時代の書籍では天帝として尊ばれています。
夏王朝や商王朝では歴代君主はその祖先を天帝と為しており、夏王朝の祖である大禹は天帝大禹と、商王朝ではその祖である帝嚳を天帝帝嚳として尊びました。
昊天は華夏文明の統治者の祭祀対象でした。更に周朝になるとその祖先の后稷を天帝とすることが喜ばれました。
山海経では、帝俊が天帝として書かれています。
また、天帝は空の星のことを指している場合もあり、帝星とも称され北極五星の最も明るい星の事を指しています。
以下が歴史上天帝として奉られた存在です。
1、伏羲(ふっき fu2xi1 フーシィー)
伏羲は夏民族の人文の先始とも呼ばれており、三皇の一人です。創造神の女媧の兄でありともにこの世を作ったとされています。
風姓であり、またの名を宓羲、庖犧、包犧、伏戯、犧皇、皇羲などとも称され、史記中では伏犧と表記されています。その後太昊と合わさり後世では朝廷官からは太昊伏羲氏と称され、この他にも青帝太昊伏羲氏、即ち東方上帝と呼ばれていたという説もあります。
伏羲は燧人氏の子で成紀で生まれ陳地を都に定めました。伏羲の時代は旧石器時代の中後期であったと言われており、その伝説より最も初期の王で中国の人文の祖と言われています。
伝説では伏羲は蛇の体に人の頭部を持っており、妹の女媧と婚姻し子孫を作りました。伏羲は天地万物の変化に基づき八卦を発明したと言われています。その他にも雲の巣を参考にして網を発明して人々に網を使った漁の仕方を教えたり、瑟と言う楽器を発明して曲を作ったり様々な発明を行っています。
伏羲は王を称してから百十一年後に逝去し、後には大量の伏羲伝説が残されました。
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2、昊天上帝(こうてんじょうてい hao4tian1shang4di4 ハオティエンシャンディ)
昊天は中国神話中の至高神である天帝の尊号です。夏文明における上帝で、古くより朝廷の公式な祭祀で祀られました。古い文献には、虞舜、夏禹の時代にすでに上帝があったと記載されています。
殷商の甲骨文字中には昊天上帝を帝、或いは上帝と称し自然と下国の主宰であり、その他にも日、月、風、雨などを起こす臣下がいたとされます。
殷周以降、天帝の呼称はよく変化しており、様々な名称が見られます。すなわち、帝、上帝、天、皇天、昊天、皇天上帝、昊天上帝、維皇上帝などで様々な意味の事柄が人格化したものです。
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3、五方天帝(ごほうてんてい wu3fang1tian1di4 ウーファンティエンディ )
五方天帝は東西南北及び中央の五方位を統治する天神で、即ち東方青帝太昊、南方赤帝炎帝、西方白帝少昊、北方玄帝顓頊、中央黄帝軒轅です。五行に則り色や季節が割り当てられています。
- 中央天帝:黄帝(軒轅氏)と后土娘娘。手には縄を一本持っており八方を司る。
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- 東方天帝:伏羲(青帝、太昊氏)で補佐大臣は木神句芒。手にはコンパスを持ち、春神と為す。
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- 西方天帝:少昊(白帝、金天氏)で補佐大臣は金神蓐收。手には曲尺を持ち、秋神と為す。
少昊に関しては以下をご覧ください!
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- 南方天帝:炎帝(赤帝、神農氏)で補佐大臣は風神飛廉、火神祝融。手にはは秤を持ち、夏神と為す。
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- 北方天帝:顓頊(玄帝、黒帝、高陽氏)で補佐大臣は水神玄冥。手には錘を持ち、冬神と為す。
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4、帝俊(ていしゅん di4jun4 ディジュン)
帝俊は山海経の中で天帝と称されています。帝俊の原型は太古の昔の部落の首領であった帝嚳とされています。帝俊の妻は羲和と言い、十個の太陽を産んだ太陽の母です。さらに常羲という妻もおり、こちらは十二個の月を産んだ月の母です。一方で帝嚳の妻には常儀、姜嫄、簡狄、慶都がいました。帝嚳は帝俊と同一であり、常儀は常羲のことです。さらに帝舜も帝俊から分かれて独立した帝であると考えられています。
帝堯の時代、十個の太陽が同時に天に現れて灼熱の日々が続きました。どうすることもできなかった帝堯は、天帝である帝俊に助けを求めました。帝俊は羿に弓と矢を渡し、地上に遣わしました。羿は九個の太陽を射落として大地を灼熱の地獄から救ったと言います。さらに太陽のために跋扈していた悪獣達を退治して、神話中でも並ぶもののない英雄となりました。
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5、太陽神炎帝(たいようしんえんてい tai4yang2shen2yan2di4 タイヤンシェンイエンディ)
太陽神炎帝は元々は農業の神でもあり、神農とも呼ばれていました。現在では三皇五帝の内の三皇に数えられており、炎帝神農氏とも称されています。神農氏は他の五帝に比べて神としての性格を持っており、現在でも中医学や商人などによって神として祀られている場合があります。
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6、黄帝(こうてい huang2di4 ホアンディ)
黄帝は石器時代末期の部落連盟の首領であったと言われています。黄帝は姫軒轅(きけんえん)や公孫軒轅と言い、有熊部落を治めていました。
五帝の主であり、中国人文の祖として崇められてきました。黄帝は道教にも取り入られて古仙として奉られました。この黄帝が天帝とされたケースもありますが、どちらかというと徳の高い帝として描かれる場合が一般的です。
黄帝に関しては以下をご覧ください!
7、東皇太一(とうこうたいいち dong1huang2tai4yi1 ドンホアンタイイー)
東皇太一は楚人の屈原の《九歌》の中に見られます。この九歌中には天神として描写され、中国の戦国時代の楚国の最高神で、天空星辰を主宰していました。
太一は天一とも言われ《晋書・天文志上》には、”天一星は紫宮門の右にある。”とあり、《星経》には、”太一星は紫宮門外の天一星の南にある。紫宮は北極星がある天区であり、天一、太一ともに大変暗い。”とあります。
太一は神の名であり泰一とも書きます。《史記・封禅書》には、”天神貴太一”とあり北極神の別名と書かれています。《天官書》には、”中宮天極星、その一明者、太一は常に居るなり。”とあり、”泰一は天帝の別名なり、泰一は天神の最も尊貴者なり。”とあり北極神であり天帝とされています。
8、天皇大帝(てんのうたいてい tian1huang2da4di4 ティアンホアンダァディ)
天皇大帝は正式名称が勾陳上宮天皇大帝(六御中の西方太極天皇大帝)と言い、簡略化されて勾陳大帝や天皇大帝と称し、中国民間信仰及び道教尊神四御中の第三位の神です。斗姆元君の長子で紫微大帝の兄で玉皇を助け、天地人の三才を掌握し、人間界の衆生、一切の兵器、戦争を主管しているので武神とも称されます。
勾陳に関しては以下をご覧ください!
中国神話の不思議が詰まった神様達。神様特集1(嘘、弁玆、石夷、柏子高、不廷胡余、慶忌、折丹、勾陳、貳負)
天皇大帝と北極紫微大帝は共に中国古代の星座崇拝に由来します。《上精霊宝大法》の四巻には天皇大帝は、”北極帝座の左に星四座はある。その形状は勾の如く曲がっており名を勾陳という。その下の大星はその中にあるがこれが天皇大帝である。”とあります。《晋書・天文志》には、”勾陳六星は皆紫微宮中にある。勾陳口中には一つの星があり天皇大帝と言い、その神は耀魄宝と言い、主に群霊を御し、万神図を執る。”とあります。
その他、天皇大帝と紫微大帝と一緒に世間の帝王の象徴ともされています。
9、紫微大帝(しびたいてい zi3wei1da4di4 ズゥウェイダァディ)
紫微大帝は中国民間信仰中で重要な地位を占めており、正式には中天北極紫微大帝と称します。紫微は又は紫宮とも称し、紫微星は三垣中の中垣に位置し、星座上で帝王のいる場所であり皇宮または紫禁城とも呼び、これらの由来は同じです。紫微大帝は天経地緯を掌握し、普天星斗を率いて鬼神と雷霆を指揮します。
10、玉皇大帝(ぎょくこうたいてい yu4huang2da4di4 ユィホアンダァディ)
玉皇大帝の正式名称は昊天金闕無上至尊自然妙有弥羅至真玉皇上帝と言います。玉皇大天尊や昊天通明宫玉皇大帝、玄穹高上玉皇大帝とも称されます。玉皇大天尊の正式名称は、太上開天執符御歴含真体道金闕雲宫九穹歴御万道無為通明大殿昊天金闕玉皇大天尊玄穹高上帝と言います。
玉皇大帝は太微玉清宮に住み、三界の十方内外の諸神と衆生を統括し、並びに世間の一切の興隆衰敗、吉凶禍福の一切を管轄しています。三清の下の地位で四御の上の大神とされています。
玉皇大帝は中国民間信仰の影響中では衆神で最も尊く、拝天の義式では三清天尊をも超える存在として一般の神よりも信仰されました。その他よく間違えられますが、玉皇大帝は道教の神であり仏教に置ける帝釈天ではありません。
出典:baidu
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