騶虞:生き物を殺めることを嫌う五彩の優しい仁獣

騶虞(すうぐ zou1yu2 ゾウユィー)

騶虞は古代中国神話中の伝説の仁獣です。虎の体に獅子の頭をしており、白い毛に黒い模様があり尾が非常に長い神獣と言われています。またの名を騶吾(すうご)と言います。その性質は慈愛に満ち、青々と生い茂る草を見ると踏むことを忍び、生きている生物は食べないと言います。

騶虞が書かれている最も古い書物は山海経で、《山海経・海内北経》には、”林氏国に珍獣がおり、大きさ虎の如く、五彩が備わっており、尾の長さは体長ほどあり乗ると一日に千里を行くという。”とあります。五色とは五行で言う赤、青、黄、白、黒でこの色が揃っているとおめでたいとされています。《淮南子》には、”白虎で黒紋があり仁で、死んだ獣を食べ、日に千里を行くという。名を騶吾といった。”とあります。

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後世には常に仁獣としての神格化が行われており、明代永楽、宣徳年間に多くの騶虞が現れたという記述がみられます。”永楽二年九月に周王朱橚がやってきて騶虞を献上し百僚はこれを祝賀した。宣徳四年三月、南京守備襄城伯李隆が騶虞を献上した。”などです。

《楊文敏集》第一には、”曩は永楽二年の秋に河南の鈞州で騶虞を見た。白い毛に黒い模様があり、虎の体躯で猊の首、尾は体長ほど長く性質は仁に厚い。生きているものは食べず、生きている植物は踏まず、優しく穏やかでその姿は異常であった。臣下はこれを得て朝廷に献上した。永楽十一年、北京を視察し、青と兗の間でまた騶虞を見た。獣を司る者、以って献上する。”とあります。

  • 騶虞のモデルになったと推測されている動物たち

その1、雪豹説

雪豹は降雪地帯で生きている大型の猫科の動物です。その数は少なく希少な生き物です。雪豹は白色の長い毛の根元には黒い毛で満たされており、不規則な模様があります。これが騶虞の描写の”白虎黒紋”と一致しており、騶虞のモデルが雪豹ではないかと言われている由縁の一つです。その他にも、長く太い尻尾を持っており、古くから言われている”尾長于身”という描写と一致します。また、雪豹は高山の岩山に住んでおり、夜行性で草地や林間を通ることを好まず、岩場などの決まったルートを通り食べ物を探しています。これも騶虞の”生きているものは踏まない。”という描写と一致します。さらに人間を襲わないと言うことからも騶虞のモデルは雪豹ではないかと言われています。

一方で、伝説中の騶虞の大きさは人が乗れるので雪豹では小さすぎますし、白と黒の二色だけで五彩の残りの色はありません。また、肉食で獲物が捕まれば食べてしまいますので、生きているものを食べないと言う内容とも相反してしまいます。

その2、大熊猫説

この説は非常に面白くて有名で、大きな論争を生みました。騶虞のモデルがなんと大熊猫、即ちジャイアントパンダであると言う説です。確かにパンダは白黒ですし、人が乗れるサイズですし竹や植物を食べますので特徴は一致します。大人しいですし、仁獣としてのイメージも湧いてきます。これは西晋の人々が騶虞を大熊猫と呼んでいたという説に因みます。

一方で反対の立場の人々はその当時のパンダにはすでに玄貘という呼び名があった、と主張しています。また、白虎黒紋という虎のような模様はパンダにはありません。尾の長さも一致しません。五彩もありませんし、騶虞がパンダの訳がない、と主張しています。

どちらの説も相違点があるため、可能性の範囲にとどまっているのが現状です。

出典:baidu

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