中国神話の奇妙な鳥を集めてみた。怪鳥特集1(尚付、酸與、絜鈎、跂踵、勝遇、竦斯)

中国神話には様々な動物が現れますが、鳥に関しても不思議な見た目の鳥が現れます。今回は尚付、酸與、絜鈎、跂踵、勝遇、竦斯という不思議な鳥たちをご紹介いたします。

尚付(しょうふ shang4fu4 シャンフゥ)

尚付の記述は《山海経》に見られ、”尚付の形状は鶏の如く三首、六目、六足”とあります。尚付は鶏のようですが三つ首で六眼、六足、三翼であると言います。また、その肉は人に居眠りをさせなくする効能があると言います。

尚付は山海経の南山経に記載されています。山海経南山経に関しては以下をご覧ください!

山海経を読もう!No,1 五蔵山経南山経編

出典:baidu

酸與(さんよ san1yu3 サンユィ)

酸與は酸与とも書きますが、山海経に出てくる怪鳥です。蛇のようであり、四本の翅と六つの目、そして三本の脚を持っています。鳴き声は自分の名を呼んでいるようで有ると言います。恐ろしいことに、この鳥が現れると恐怖を覚える出来事が発生すると言います。

酸与は五蔵山経の北山経に記載が見られています。また、この鳥の肉を食べると酒に酔わなくなるという言い伝えもあります。




五蔵山経北山経に関しては以下をご覧ください。

山海経を読もう!No,3 五蔵山経北山経編

出典:baidu

絜鈎(jie2gou1 ジエゴウ)

絜鈎は古い鳥の名です。《山海経》には、絜鈎は野鴨で鼠の尻尾を持っており。木に登り出現した地方には疫病が発生したと言います。

山海経には次のように記されています。”さらに東へ五百里に(石垔)山があり、南面は水に臨み、山上から東を向けば湖澤が望めた。山中には野獣がおり、形状は一般的な馬であるが、羊と同じ眼、四本の角、うすと同じ尻尾をしており、発する声は犬の泣き声のようであった。名を峳峳と言い、現れた国には奸臣が多くいると言う。山中にはさらに禽鳥がおり、形状は野鴨のようであるが鼠と同じ尻尾を持ち、気ままに木に登っている。名を絜鈎と言い、出現した国家はどこでも疫病が発生すると言う。”

山海経・東山経に関しては以下をご覧ください!

山海経を読もう!No,4 五蔵山経東山経編

出典:baidu

顒(ぎょう yong2 ヨン)

顒は中国神話中に出てくる人面鳥で山海経の南山経に出てきます。


南山経には、”さらに東へ四百里に令丘山があり、草木は無く至る所に野火があった。山の南辺に峡谷があり、中谷と言った。東北風はこの中より吹き出していた。山の中に禽鳥がおり、形状は梟に似ているが人面で目が四つあり耳があった。名を顒(ぎょう)と言った。その鳴き声は自身の名前と同じ音声であり、出現すると天下には大干ばつが起こるという。”とあります。




この鳥も出現すると人間社会に干ばつと言う大いなる災いをもたらしてしまいます。

山海経南山経に関しては以下をご覧ください!

山海経を読もう!No,1 五蔵山経南山経編

出典:baidu

跂踵( qi3zhong3 チージョン)

跂踵とは山海経の中山経に記されている怪鳥です。

山海経の中山経には、”さらに西へ二十里に復州山があり、ここの樹木は檀樹が多く、山南面には黄金が豊富にあった。山中には禽鳥がおり、形状は一般的な猫頭鷹(フクロウ)に似ていたが一つの爪と豚と同じ尾があった。名を跂踵と言った。跂踵が現れた国はどこでも大疫病が発生したと言う。”と記されています。

この跂踵が現れると疫病が発生すると言う恐ろしい鳥です。

山海経中山経に関しては以下をご覧ください!

山海経を読もう!No,5 五蔵山経中山経編

出典:baidu

勝遇(せいぐう sheng4yu4 ションユィ)

勝遇は山海経の西山経に記載が見られている中国神話中の怪鳥です。


山海経の西山経には、”さらに西へ三百五十里に玉山がありここは西王母の住まう場所であった。(中略)山中には禽鳥がおり形状は野鶏のようであるが全身を通して紅色で名を勝遇と言いよく魚類を食べていた。発する声は鹿の鳴き声と似ていた。出現した国家はどこでも水害が起こったと言う。”とあります。




文中に西王母(せいおうぼ)と言う名が見られますが、西王母は神々を統べる崑崙山の主のことです。勝遇は文章を見る限りでは水害を発生させる以外は普通の鳥のような気がします…。

西王母に関しては以下をご覧ください!

西王母(王母娘娘):崑崙山に君臨する不老長寿の薬を司る女神

山海経西山経に関しては以下をご覧ください!

山海経を読もう!No,2 五蔵山経西山経編

出典:baidu

竦斯(しょうし song3si1 ソンスー)

竦斯は中国神話中の人面鳥で、山海経にその記述が見られます。

山海経の北山経には、”さらに北へ三百二十里に灌題山があり、山上には臭椿と柘が繁茂しており、山下には至る所に流沙があった。さらに磨石(とぎ石)を多く産出した。山中には野獣がおり、形状は一般的な牛であるが白色の尾があり発する声は人が大声で呼ぶときの声と同じであった。名を那父と言った。山中にはさらに禽鳥がおり、形状は一般的な雌の野鶏で人面であり、人を見ると飛び跳ねた。名を竦斯と言い、その名は鳴き声に字を当てたものである。匠韓水はこの山より流れ出て西へ向かい泑澤に注ぎ、水中には多くの慈石(磁鉄石でマグネタイトのこと)があった。”とあります。

古代中国神話中には人面鳥は決して珍しい存在ではなく、よく見られる存在です。例えば、東方の句芒や禺強、禺猇、九鳳などが思い浮かびます。

句芒に関しては以下をご覧ください!

句芒:扶桑に住んでいて生き物の成長と繁栄を司る春の神様

禺強に関しては以下をご覧ください!

禺強、禺京:北方の海神であり風神でもあり冬を司る神

禺猇に関しては以下をご覧ください!

禺猇:黄帝の息子で東海を司る鳥の体をした神様

九鳳に関しては以下をご覧ください!

九鳳:古く楚の地方で信仰された頭が九つある不思議な鳳凰

山海経北山経に関しては以下をご覧ください!

山海経を読もう!No,3 五蔵山経北山経編

出典:baike

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