山海経に出てくる奇妙な国や民族を集めてみた。異国3(労民国、黒歯国、困民国、揺民国、壎民国、卵民国、盈民国、載民国、巫載民、蜮民国)

大人気の古代中国にあったとされている山海経に記載が見られる幻の国や民族をご紹介する特集の第三弾です。今回は労民国、黒歯国、困民国、揺民国、壎民国、卵民国、盈民国、載民国、巫載民、蜮民国をご紹介します。今回も前回同様に様々な国や奇妙な人々が出てきます。

労民国、教民国(ろうみんこく、きょうみんこく lao2min2guo2 jiao4min2guo2 ラオミングオ、ジャオミングオ)

労民国は古代中国にあったとされる伝説の国です。別名を教民国とも言います。労民国の人々は全身真っ黒であったと言います。

山海経の海外東経には、”労民国はその北面にあり、そこに住む人々は全身黒色であった。労民国は教民国とも称した。別の言い方をすると、労民国は毛民国の北面にあり、そこに住む人々の顔や目や手足は全て黒かった。”とあります。

山海経海外東経に関しては以下をご覧ください!

山海経を読もう!No,9 海外経海外東経編

黒歯国(こくしこく hei1chi3guo2 ヘイチィグオ)

黒歯国は歯の黒い人が住む国です。全員虫歯でしょうか?しかし、グルメな面もあり、蛇をおかずにご飯をぱくぱく食べています。また、蛇使いの側面もあり興味深い民族です。

山海経の海外東経には、”黒歯国はその北面にあり、そこに住む人々の歯は漆黒であり、稲米又は蛇を食べており、さらに一条の紅蛇と一条の青蛇があり、その身辺を囲んでいた。別の言い方をすると、黒歯国は堅亥の場所の北面にあり、そこに住む人々の頭部は黒く、稲米を食べ蛇を駆使する。その中の一条の蛇は紅色であった。

下方には湯谷があった。湯谷には一本の扶桑樹があり、十個の太陽が入浴する場所で、黒歯国の北面にあった。大量の水を湛えた中間にある大きな樹木に九個の太陽が下の枝に、一個の太陽がその上枝に止まっていた。”とあります。

黒歯国の北には扶桑樹がありますの、地の果てにある国というイメージです。扶桑樹は太陽が飛び立つ木ですので東の果てにあります。そしてこの木の近くでは太陽の母である羲和が子供である太陽を洗っていると言います。

羲和に関しては以下をご覧ください!

羲和:太陽を十個生み大地に大干ばつをもたらした帝俊の妻

山海経海外東経に関しては以下をご覧ください!

山海経を読もう!No,9 海外経海外東経編

困民国(こんみんこく kun4min2guo2 クンミングオ)

困民国は山海経に一言しか出てこない国です。

山海経の大荒東経に記載が見られ、”困民国という国があり、そこに住む人々の姓は勾で、黄米を食物としていた。”とあります。

勾という姓であり黄米を食べていたと言います。

山海経大荒東経に関しては以下をご覧ください!

山海経を読もう!No,14 大荒経大荒東経編

揺民国(ようみんこく yao2min2guo2 ヤオミングオ)

揺民国は王亥の子孫の国です。王亥は商王朝の始祖とされており、王亥の子孫である商湯が夏王朝を滅ぼして商王朝、即ち殷を建国しています。王亥は商丘の地に封じられており、商売がうまかったことから商売をする商の人は商人と呼ばれるようになったと言います。つまり、商人の語源はこの王亥にあります。

王亥は山海経の大荒東経に記載が見られており、”王亥という人物がおり、両手で一羽の鳥を掴み鳥の頭を食べていた。王亥は肥った牛の一群を有易族人の所で飼っており、水神河伯の所であった。有易族人は王亥を殺し、その肥った牛を没収した。河伯は心を痛め、王亥の子孫たちが有易族人からこっそり逃げ出すことを助け、野獣が出ない地方で国家を建立した。彼らは今は野獣の肉を食べ、国の名前は揺民国と言った。別の言い方をすると、帝舜が戯を生み、戯の子孫が揺民であった。”とあります。

河伯に関しては以下をご覧ください!

河伯:黄河を統べ河伯娶婦と言う悪しき風習の元凶となってしまった水神

王亥に関しては以下をご覧ください!

王亥:商国の始祖でもあり、商人の祖でもある人物

舜に関しては以下をご覧ください!

舜:五帝に数えられる古代中国の名君で意地悪な親にも忠孝を尽くした帝

山海経大荒東経に関しては以下をご覧ください!

山海経を読もう!No,14 大荒経大荒東経編

壎民国(けんみんこく? xun1min2guo2 シュゥンミングオ)

壎民国は山海経に一言しか出てきません。ですのでどういう国か全く不明の未知の国です。

山海経の大荒東経には、”壎民国という国があった。”としかありません。

山海経大荒東経に関しては以下をご覧ください!

山海経を読もう!No,14 大荒経大荒東経編

卵民国(らんみんこく luan3min2guo2 ルアンミングオ)

卵民国は非常に神秘的な人々が住む国です。何とカモノハシのようにほ乳類にもかかわらず卵を産みます。人々は卵から生まれ、成長すると卵を産みます。

山海経の大荒東経には、”卵民国という国があり、そこに住む人は皆卵を生みそして卵から孵化して生まれた。”とあります。

卵民が現在に生きていたら間違いなく全世界がひっくり返る大発見となることでしょう。

山海経大荒南経に関しては以下をご覧ください!

山海経を読もう!No,15 大荒経大荒南経編

出典:baidu

盈民国(えいみんこく ying2min2guo2 インミングオ)

盈民国という国には於さんという姓の人が住んでいたと言います。昔の中国では同姓同族と言われていましたので、於一族が住んでいた国がこの盈民国だと思われます。

山海経の大荒東経には、”盈民国という国があり、そこに住む人の姓は於で、黄米を食べていた。”とあり、黄米を食べていたことが分かります。因みに黄米とは黍(きび)のことです。

山海経大荒南経に関しては以下をご覧ください!

山海経を読もう!No,15 大荒経大荒南経編

載民国、巫載民(さいみんこく、ふさいみん zai3min2guo2 )

載民国はこの世の楽園のような国です。載民国に住む人々は巫載民と呼ばれていました。農業をせずとも豊富な自然の恵みがあり食べ物には困りません。さらに、おめでたい鳥である鳳凰が舞を舞っており全国の農作物が集まっていたと言います。

山海経の大荒南きょうには、”載民国という国があった、帝俊は無淫を生み、無淫は貶められてこの地方に住み、その子孫はいわゆる巫載民であった。巫載民の姓は朌と言い、五穀の穀物を食べ、衣類となる繊維を作らなかったので衣服は自然にある材料で作り着た。農業はしなかったので、自然にある穀物を食べていた。ここには歌いよく舞う鳥がおり、鸞鳥は自由自在に歌を歌い、鳳鳥は自由自在に舞っていた。ここにはまた各種各様の野獣がおり、群れを作っていた。さらにこの地方には各種の農作物が集まっていた。”とあります。

巫載民の祖先は帝俊でありますので帝王の血を由緒正しい引く民になります。

帝俊に関しては以下をご覧ください!

帝俊:天帝でもともとは夔と言う神様な上、太陽と月の父親でもあった帝

鸞鳥、鳳鳥に関しては以下をご覧ください!

鳳凰:朱雀のモデルとなり火の中から甦るおめでたい神鳥

山海経大荒南経に関しては以下をご覧ください!

山海経を読もう!No,15 大荒経大荒南経編

蜮民国(よくみんこく yu4min2guo2 ユィミングオ)

蜮民国には桑という姓の一族が住んでいました。弓を持ちひと際目立っている人は蜮人と呼ばれていたようです。

山海経の大荒南経には、”蜮山という名の山があり、そこには蜮民国があり、そこに住む人の姓は桑であり、黄米を食べ、また射殺した蜮を食べてしまった。まさに弓で黄蛇を射ようとする人がおり、名を蜮人と言った。”と記載されています。

蜮は伝説に出てくる人を害する虫であり、形状はすっぽんに似た三本足の怪物です。

蜮に関しては以下をご覧ください!

中国神話の奇妙な鬼を集めてみた。鬼特集1(黄父鬼、瘧鬼、蜮)

山海経大荒南経に関しては以下をご覧ください!

山海経を読もう!No,15 大荒経大荒南経編

出典:baidu

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