中国神話の奇妙な鬼を集めてみた。鬼特集1(黄父鬼、瘧鬼、蜮)

古代中国には恐ろしい鬼たちがいたと言います。今回は恐ろしい中国の鬼たちをご紹介します。

黄父鬼(こうほき huang2fu4gui3 ホアンフゥグイ)

黄父鬼は古代中国伝説中に出てくる鬼です。


黄父鬼は神異経の東南荒経に、”ここにいる人間は鬼を食べ、露を漿と為す。名を尺廓と言い、またの名を食邪と言った。さらに黄父とも言った。”とあります。道士達はこの黄父鬼を呑邪鬼と呼んでおり、黄父鬼とも呼ばれました。




神異経に関しては以下をご覧ください!

神異経を読もう!神異経を翻訳してみた。

李賢は晋の葛洪の《神仙伝》を引用して、”巴には十数日で未だ到らず、廟中の神は再び声を出さず。郡中には常に患があり、黄父鬼は百姓に害をなした。巴に到ると皆その所在を知らず。”とあります。

巴は四川省と重慶市付近の地域の古い呼び名です。

出典:baidu

瘧鬼(ぎゃくき nve2gui3 ニュェグイ)

瘧鬼は古い昔に信じられていた、瘧疾は鬼の祟りによりもたらされたといことに由来して瘧鬼と称されるようになりました。

一方で晋の干宝の捜神記の第十六巻には、”昔、顓頊氏に三人の子があったが、死んで疫鬼となった。一人は江水に住んで瘧鬼となり、一人は若水に住んで魍魎鬼となり、一人は人の宮室に住んでよく子供を怖がらせる小鬼となった。”ともあります。

顓頊に関しては以下をご覧ください!

玄帝顓頊:中国史上初の国家である夏王朝につながる礎を築いた偉大なる帝

捜神記に関しては以下をご覧ください!

捜神記:中国の様々な伝説が記されている貴重な書物

瘧鬼は古代より災いをもたらす悪鬼として恐れられていました。

出典:baidu

蜮(よく yu4 ユィ)

蜮は伝説に出てくる人を害する虫です。別名を短狐、水狐、水弩、射工とも言います。形状はすっぽんのようで三本足の怪物です。さらに別な伝説では、砂を口に含んで人に吐きかける動物のことも指しています。

《説文解字》には、”短狐なり。鼈に似て三足、気を射志人を害する。”とあります。即ち、説文には蜮は三本足の大亀として書かれていますが。他の書物には羽を持つ甲虫として書かれている場合もあります。




蜮の関連する成語に”含沙射影”があり、古代中国では一種の生物もしくは疾病のことを表しています。晋代に書かれた捜神記には、”その名を蜮と言い、またの名を短狐と言い、含沙射人(砂を含んで人を射ること)が出来た。命中したものは急に体調が悪化して頭痛、発熱が起こり、死に至るものも出る。”とあり、含沙射影に近い言葉が見られます。

これに加えて蜮は常に水中におり、博物誌や経典釈文には、”人が二、三歩下がると即ち撃ち、命中した人は十人中六、七人は死んでしまった。”とあります。蜮 の俗称は水弩と言い、口の中に弓のような一本の肉が横向きにあると言います。基本的には南方の水中で生活しており、人が岸上や水上を通過すると口に含んだ砂粒を人もしくはその影めがけて撃ちます。人は元より影を打たれても病気になってしまい、このため射工や射影とも呼ばれています。

これらの言い伝えが合わさり”含沙射影”が出来上がり、さらに暗闇に隠れて人を襲う卑小な人間に対してもちいられる言葉になったと考えられます。

その他、捜神記には、”蜮射は南方で生まれ短狐者と言うなり。南越夷狄は男女同じ川で浴し、女を淫らにする主なり。故に蜮が多いという。蜮は淫女惑乱の気を生む。”とあります。

出典:baidu

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