英招:槐江山の天神で四海を飛び回る翼のある人面馬

英招(えいしょう ying1zhao1 インジャオ)

英招は古代中国神話中に出てくる伝説の神獣です。山海経・西山経には、”西へ三百二十里に槐江山があった。丘時水はこの山より流れ出て北へ向かい泑水へと注いだ。水中には多くの■螺がいた。山上には石青、雄黄が豊富に埋蔵されており、さらに琅玕、黄金、玉石も多くあった。山南面の至る所に粟粒大の丹沙(辰砂とも。硫化水銀の事で朱の原料)があり、山北面からは色彩を帯びた黄金白金が多く産出した。この槐江山は天帝がいる半空の園圃で、天神英招が主管している。天神英招の形状は馬の体に人面で、体には虎の模様と禽鳥の羽があり四海を巡行し天帝の旨命を伝布した。発する声は轆轤(ろくろ)で水を汲むときの音と同じであった。”とあります。

山海経の中では英招は天神で槐江山の花園を管轄している神様です。ただし見た目は馬のようですが、翼と人の顔があると言う特異な見た目をしています。

この槐江山から西南へ四百里行くと崑崙山につきます。崑崙山は神仙の住まう神聖な山で、多くの不思議な神獣たちがいます。このため、崑崙山の周辺の山々にも多くの神々が住んでいます。

この崑崙山にはこの英招と同格とみられる陸吾という天神がいます。山海経には、”槐江山からさらに西南へ四百里に崑崙山があった。ここは天神が下界に降臨した際の都であり、天神陸吾の主管であった。陸吾の容貌は虎の体に九条の尾があり、人面で虎の爪があった。この神は天上の九部と天帝の苑圃の時節を主管していた。”とあります。




陸吾は虎の体に人面で九つの尻尾を持つ神様です。陸吾も英招と同様に崑崙山の苑圃を管轄しています。

陸吾に関しては以下をご覧ください!

陸吾:高い霊力を持つ人面虎で天の九部を司る崑崙山の守護神

  • 英招の武功

英招には大禹につき従って悪神たちと大戦争を繰り広げたと言う言い伝えがあります。

大禹に関しては以下をご覧ください!

禹:黄河の治水を成功させた大英雄で夏王朝の建立者

英招は馬身人首で全身に虎の模様と背中には翼があり四海を周遊していました。英招は数百回に及び邪神や悪神たちの討伐に参加しており、このため世に平和をもたらしていました。英招は百花の神と友人関係にありました。英招は”土縷”と言われる神獣の群れを管轄していましたが、土縷達は羊の形状に四本の角があり人を食べてしまう神獣でした。しかし、英招はこれを良しとせずに、土縷達が人を食べることを許しませんでした。

英招はさらに欽原という名の神鳥たちも管轄しており、彼らもまた人を食べることを許しませんでした。英招はその他にも樹木た鳥、蛟、龍、大蛇、豹など多くの動植物も同時に管轄していました。




そんな英招が参戦した戦いで最も苛烈を極め英招の名声を不動のものにしたのが相柳との一戦でした。相柳はもともとは共工の部下ですが、神話中で多くの戦いで悪者として出てくる怪物です。

相柳に関しては以下をご覧ください!

相柳と浮遊:共工の忠実なしもべで洪水を起こす凶悪無比の悪神たち

共工に関しては以下をご覧ください!

共工:治水で民に尽くしそして山をも真っ二つに割ってしまう狂戦士

時は帝舜の時代です。相柳は共工の家臣で、九つの頭がそれぞれ九つの山上に分かれて居り、山上でものを食べていました。相柳は雍州の西を制圧しており、百姓たちを虐げていました。共工が藩国内の相柳の領地に行くと、その暴虐ぶりを目にしました。このため共工は句龍の孫である孔壬を残しその地を管轄させました。

舜に関しては以下をご覧ください!

舜:五帝に数えられる古代中国の名君で意地悪な親にも忠孝を尽くした帝

孔壬は相柳に民を欺く方法を教えました。相柳は孔壬の教えた方法を取り入れ、孔壬の下で偽仁偽義で百姓たちに接し痩せこけた百姓には恵みを与えますが、肥った民を食べてしまったいました。このため、恵みを与えられるやせ細った民百姓たちの人心を掴んでいましたが、その民たちがっ肥ってしまうと今度は食べてしまったのです。

方法が巧妙であったため、数十年に渡り遠方の人々には真相は伝わりませんでした。しかし、相柳はこれまで数えきれないほどの多くの人々を食べてきたために、体躯は巨大になり腹の中は膏油で満ちていました。

この状況を長くは隠し通すこととは出来ずに遂には大禹に露見してしまいます。大禹は舜に相柳と孔壬誅殺を奉じるとすぐに軍を招集して相柳討伐軍を結成し潘国の相柳の領地へ向けて進軍を開始しました。

相柳は勢力を膨張させ、自身も修練により霊力を増強したため千里内の出来事のすべてを見通せるようになっていました。大禹が自分たちを討伐するために行軍し、孟門と壷口の両山を通過した事を知った相柳は血の気を失い慌てふためいている主である孔壬に言いました。”大禹の小僧が我々の討伐へやってきました。あなたは長い間私の主君でした。大禹に殺されるのは忍びないのでお逃げなさい。”と。

相柳は言い終わると九つの頭を持ち上げて体を寄せとぐろを巻き、食べるために飼っていた人々や虎を一気に絞め殺してしまいました。その数は数百にも及び血肉を平らげました。その後、大禹を迎え撃つために西北へと進軍しました。相柳が進軍した後には草木や家屋はなぎ倒されておりその巨大さを伺わせました。

英招はこの時大禹の陣営に居ました。大禹軍と相柳軍は激突し激しい戦いが繰り広げられました。相柳は毒液を吐き出すことができるため、辺り一面は毒の沼地となってしまい草一本生えず、この地に迷い込んできた動物たちもその毒気によりたちまち死んでしまいました。




一方の大禹は帝のため特殊な能力はありませんが、それを補って余りある徳が備わっていたために多くの有能な部下や強力な霊力を持つ神獣たちが配下につき従っていました。大禹は黄河の治水工事を行いましたが、この時にも応龍などの強力な神獣たちが助成しています。今回の戦いでも多くの神獣たちが参戦しており、相柳の毒を躱しながら強大な相柳軍を押していき、遂には相柳軍を壊滅させました。そしてこの戦いで多大なる武功を挙げたのが英招でした。

応龍に関しては以下をご覧ください!

応龍(應龍):不死身の帝王である蚩尤を討ち取った中国最強の龍

戦いに敗れた相柳は誅殺されましたが巨大な相柳の死体は腐乱しその生臭さは国中を覆いつくしたため地上の民百姓には逃げ場がありませんでした。やがて疫病が発生しだしてさらに民百姓を苦しめだしました。相柳の体には油脂で満たされていたために腐るのが速い上に太陽の熱気により腐敗臭が舞い上がり天まで届いたと言います。そこで、英招と霜神と雪神達が相談して大霜と大雪を起こした上に周囲を凍らせて相柳の死体をも凍らせてしまいました。これにより腐乱の問題は解決しました。

しかし、相柳をそのままにしておくとやがて以前のように腐乱臭がしてしまいますので、英招は神力を使い千丈もの長さの相柳の死体を数百里離れた場所に埋めてしまいました。しかし、相柳の死体があまりにも大きかったため、その地方には小高い丘が出来てしまいました。その後、人々はこの丘の上に幾つかの台を築きました。一つは帝嚳の台、一つは丹朱の台、一つは帝舜の台で、彼らを祀ることで鎮魂をしました。この土台は崑崙山の北にあり、台の四方の角には一条の虎の模様がある龍がおり、龍たちは相柳の化身でした。そしてその頭は常に南方を向いていたと言います。

出典:baidu

今回は天神英招のお話でした。天神と言うと人のイメージがありますが、英招は馬なのです。天神と言われてもいまいちピンときませんね(;´∀`) 英招が戦った相手ですが、中国神話一生臭い相柳です。相柳はよく悪者として出てきますが、今回の神話のみならず大抵生臭いという描写がありますので、神話の元となった相柳は相当生臭かったのでしょう。あまり会いたくないですね(;´∀`)

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