中国神話中には不思議な怪物がたくさん登場します。怪物は大体様々な動物のパーツを切り取りつなぎ合わせた形状をしています。昔は怪物の外見の説明をする際に他の動物を例にとり説明していたようです。しかし、頭部が九つあるなど実在を疑われる想像を超えた怪物が現れることも中国神話の面白さの一つですね。
蠪侄(りょうしつ long2zhi4 ロンジィ)
蠪侄は蠪蛭、蠪蚳とも書き、中国神話中の獣名です。
山海経に記載が見られ、”さらに南へ五百里に鳬麗山があり、山の上には豊富な金属鉱物と玉石があり、山下からは箴石(治療用の石の針の原料)が多く産出された。山中には野獣がおり、形状は一般的な狐で九本の尻尾があり、九個の頭が有り虎と同じ爪をしており名を蠪姪と言った。発する声は赤子の泣き声と同じで人を食べた。”とあります。
この怪物は九本の尾がある狐として書かれていますが、似たような怪物に九尾狐がいます。日本でもおなじみの九尾狐ですが、二千年以上前の漢代に書かれた山海経中に記述が見られ、青丘山に住んでいるとされています。
九尾狐に関しては以下をご覧ください!
九尾狐:元々はおめでたく徳の高い神獣とされていた青丘山の九尾狐
出典:baiku
獙獙(へいへい bi4bi4 ビビ)
獙獙は狐の怪物で、翼を持っていますが非常に薄くて飛ぶことが出来ないとされています。
山海経”さらに南へ三百里に姑逢山があり、草木はなく豊富な金属鉱物と玉石があった。山中には野獣がおり、形状は一般的な狐であるが羽があり、発する声は大雁の鳴き声に似ていた。名を獙獙と言い、一度出現すると天下に大干ばつが起きると言う。”とあります。
山海経東山経に関しては以下をご覧ください!
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朱獳(しゅじゅ zhu1nou4 ジューノウ)
朱獳は中国神話中に出てくる狐の怪物です。
山海経の東山経には、”さらに南へ三百里に耿山があり、草木はなく至る所に水晶があり、さらに多くの大蛇がいた。山中には野獣がおり、形状は一般的な狐のようであるが魚の鰭があり名を朱獳と言った。その名前は発する声に字を当ててつけられた。朱獳が出現した国はどこでも国家内で恐ろしい事件が起こったと言う。”とあります。
朱獳は背中に魚の鰭がある妙な形状をしている姿で書かれています。
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乗黄(じょうおう cheng2huang2 チョンフアン)
乗黄は狐に似た怪物で乗ると寿命が二千年増えると言います。
山海経の海外西経には、”白民国は龍魚の北面にあり、そこに住む人々は皆白い皮膚で頭髪は乱れて垂れ下がっていた。乗黄と呼ばれる野獣がおり、その形状は一般的な狐のようで、背面には角があった。乗黄に乗る事が出来たら二千年の長寿が得られると言われていた。”とあります。
乗ると寿命が二千年増えると言うありがたい生き物ですので、昔は皆乗ろうと探し回ったことでしょう。しかし背中に角があるので乗っても大丈夫なのか気になります。
《逸周書・王会解》には、”白民に乗黄がいた。乗黄と言う生き物は狐に似ておりその背には二本の角があった。”とあり、山海経と同様の内容が見られます。
山海経海外西経に関しては以下をご覧ください!
出典:baidu
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