山魈(さんしょう shan1xiao1 シャンシヤオ)
山魈は中国神話の中に登場する一本足の鬼怪です。伝説中では山魈は山中の怪物の一種で身長は高く体は黒く、腕力は非常に強いと言います。豹(ひょう)よりも早く走れ、徒手で虎を切り裂く山中の覇王であり寿命は非常に長いため人々は普通の動物ではなく妖怪であると考えていました。
《山海経・海内経》には、”南方に赣(かん)という巨人がおり、人面で唇が長く黒い体に長い毛が深々と生えていた。足先は前後逆にかかとが前を向いており、人を見ると笑いだし、一旦笑うと唇が顔全体を覆ってしまい、人はその隙に逃げ出した。”とあり、この巨人が山魈の原型であると言われています。
海内経に関しては以下をご覧ください!
《国語・魯語》には、”夔(き)は一足で越人は山魈と言う。”とあります。夔は一般には水神と言われており人を食べないとも言われています。《神異経》には、燃えて爆ぜる竹の音で驚く山魈の記述があり一尺ほどの高さで人は食べないとあります。
夔は商の時代には非常に重要な意味を持っていた漢字だと思われます。それは帝舜や帝俊、帝嚳などの原形となる神様がこの夔であった可能性が示唆されている上に、夔牛という一本足の牛に似た怪物もおり夔から様々な帝や神獣などに分かれて行った可能性が見て取れるからです。
出典:baidu
今回は山魈のお話でした。山海経に記載されている巨人は笑うと唇で顔が覆われ前が見えなくなるのでその隙に逃げ出すことができると言うことですが、お笑いのコント見たいですね(;´∀`) どれだけ上唇が広がるのか興味がありますが、それ以上に逃げ出すためにどうやって笑わせたらいいのか悩みます。下唇で顎を覆うとか唇を使った一発芸が効果ありそうな気がします、多分。
脚が前後逆についている姿も凄いですね。後ろ向きに歩くのでしょうか?山海経にはいろんな視点からいろんな生き物や人たちが書かれているのでその想像力に驚かされます。中には胸に穴が開いていて生きている人の胸の穴に丸太を通して運ぶと言う想像をはるかに超えた意味の分からない民族も出てきます。山海経が書かれたのは漢代だと言われていますが、この時作者たちは真面目に書いたのかそれとも人々を驚かすためにユーモアを交えて描いたのか興味がわきます。
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