角端:甪端(ろくたん)とも呼ばれる翼を持つ中国の祥瑞の神獣

角端(かくたん jiao3duan1 ジャオドゥアン)

角端は中国の古代伝説中の祥瑞の獣名で、形状は鹿に似て翼を持ちパンダほどの大きさです。鼻に角が一本ついており、一日に一万八千里を行くことができ、さらに四方の言語に精通していると言います。このため邪を避ける目的も兼ねて芸術作品にも多く登場しており、またの名を甪端(ろくたん)とも言い漢代頃からその名が見られるようになっています。

《宋書・符瑞志下》には、”甪端は日に一万八千里行き四方の言語を知り名君の在位に明るく、遠方の物事にも明るく則ち書を奉ると現れる。”とあります。

甪端は端端、畣端とも言います。獬豸、豸莫、独角獣などと形状は似ていますが、これらは別々の神獣です。麒麟の頭に獅子の体で翼があり、独角、長尾、四爪で、上唇が特に長く前に伸びている者上向きに巻いている者など様々なタイプがいます。甪端は宋代の神獣の彫刻を代表する形状であり、様々な皇帝の陵墓にその姿が見られています。彫刻に見られる甪端は重厚で胸が突き出ており鼻の端にある一本の角が誇張されて獅子が吠えているように見え気勢を上げています。




獬豸に関しては以下をご覧ください!

獬豸:法の化身で悪人を角で突きさし善悪を裁く神獣

麒麟に関しては以下をご覧ください!

麒麟:四霊の一柱で徳が高く優しい瑞獣

翼を持つ神獣の形状は古くはペルシャやギリシャなどで見られています。翼は飛行のためと言うよりも神性を示すための象徴として用いられています。この翼を持った神獣は歴代の皇帝たちに愛されました。ある文献によると、頭に角が一本ある神獣を麒麟と言い、二本あると避邪、角がないものを天禄と呼ぶ、と記載されています。しかし、彫刻に用いられる形状にはそれほど厳格な規則はなく、宋の時代の甪端の形状は南北朝から唐にかけて麒麟や天禄、翼馬などの特徴が加えられて変化していきました。この甪端の特徴は明、清の諸陵石に刻まれた麒麟にも継承されています。

避邪、天禄に関しては以下をご覧ください!

貔貅:金銀玉などのお宝をぱくぱく食べて集めてしまうおめでたい神獣

史書中の甪端の記述には外見に関して三種類の記述があります。一つは豚型で、二つ目は麒麟が田、三つめは牛型です。実際には、《史記・司馬相如列伝》には、”獣則ち麒麟、甪端”とあり、昔の人たちは甪端を古くから祥瑞の神獣として用いてきました。

甪端は麒麟に似ていますが麒麟ではなく、形状は豚や牛に近いです。麒麟自体は毛皮を持った動物の長であるとされています。漢代や唐代には甪端は様々な効能をもたらすとされていましたが、神格化は行われておらず宋代になると甪端はさらに神秘的な存在にされていきました。この時期に祥瑞の属性を付加された上に翼や巻いた唇などが付け加えられるようになりました。

甪端の造形は天禄や避邪などとの共通点が見て取れ、工芸ではその特徴が脈々と継承されています。明清時代になると宋代に変化して独特になってしまった形状の漢や唐代への回帰が起こり元の麒麟に近い形状に戻っていきました。つまり、宋代の甪端はその形状のみならず地位も独特で、この時代特有のものとなっています。

甪端に加えて歴代の麒麟、避邪、天禄、獬豸などは中国の各王朝で祥瑞の象徴として用いられてきました。

  • 甪端弓

甪端の角を用いて弓を作ったと言う話が残っており、《後漢書・鮮卑伝》には、”野馬、原羊、甪端牛の角を以って弓を為し、俗にいう角端弓である。”とあります。この場合、甪端は牛として描かれています。甪端牛は古代の鮮卑の異獣名であり、形状は牛に似ており角は鼻の上にあったので甪端牛の名前はこれに因んでいます。

出典:baidu

下のリンクをクリックすると中国の神獣や妖怪をまとめたページへ移動します。

中国の神獣妖怪のまとめページ




シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする