四大判官:前世の行いを厳しくチェックしている閻魔大王の補佐たち

四大判官(よんだいはんがん si4da4pan4guan1 スーダーパングェン)

判官は中国の伝説中に出てくる冥府の役人の官名です。非常に恐ろしく、悪人には情け容赦のない懲罰を加えますが、懲罰を加えるのは悪人のみであり善人に対しては正直で善意を持って接すると言います。

判官の仕事は死者の輪廻を判定することです。さらに悪人に対して懲罰を加え、善人には激励を行います。判官たちは豊都の天子殿中にいて、冥府にやってきた幽魂の判定に責任を持つことが職務です。豊都は今でも中国の重慶市に実在しており、古くから冥府のある場所として恐れられ西遊記にも登場しています。中国の心霊スポットナンバーワンの場所かも知れません((;゚Д゚))

現在、豊都には豊都鬼城というテーマパークがあり、その歴史と中国で信じられてきた冥府を垣間見ることができます。今回はそんな豊都でせっせと汗水たらして悪人たちは懲らしめている判官の中から特に有名な四判官、即ち賞善司、罰悪司、査察司、崔判官(陰律司)をご紹介します。悪人にとっては恐ろしい限りの面々です((;゚Д゚))




賞善司(しょうぜんし shang3shan4si1 シャンシェンスー)

賞善司はいつも手に善人を記した善簿を持っており、緑色の袍を身に着け、いつも笑顔です。生前に善行を積んだ小鬼などは全て賞善司の管轄です。生前に積み上げた善行の大小によって褒賞を与えます。六道輪廻中で神として生まれ変わる際、もしくは人として生まれ変わる際に孟婆の処で迷魂茶(またの名を孟婆湯とも)を一杯飲ませます。孟婆は忘却の管理者であり、このお茶を飲むことで前世の記憶を失うとともに、生前の恩怨を忘れ去り新たな界に生まれ変わります。

孟婆:冥府で生まれ変わる人に忘却の薬湯を飲ませる不思議なお婆さん

罰悪司(ばつあくし fa2e3si1 ファーオースー)

罰悪司は紫の袍を身に着け、怒って目を丸くして見張り私情にとらわれない様子をしています。やってきた鬼魂はまずは孽鏡に姿を映させて生前の善悪の行いを測り良い悪いの判断を下します。生前に悪行を行った悪い鬼は全てこの罰悪司が管轄し、閻魔大王の四不四無の原則に則った量刑で処置します。四不とは、不忠、不孝、不悌、不信であり、四無とは無礼、無義、無廉、無恥の事を指します。軽罪軽罰、重罪重罰を旨として悪が勝っていると罰悪刑台に送って十八層の地獄に落とします。地獄での刑期を終えると輪廻を行い、牛や馬、虫や犬などに生まれ変わらせて畜生道からやり直させます。

査察司(ささつし cha2cha2si1 チャーチャースー)

察查司の両眼は雷のようであり、剛直公平で大義凛然の様子をしています。その職務は善を行ったものに善の報いを与え悪を行った者には悪の報いを与え、並びに冤罪の冤罪の者にはその疑いを晴らして名誉を回復させます。

崔判官(さいほうがん cui1pan4guan1 ツィパングェン)

崔判官は陰曹地府の筆頭の人物を指します。崔判官は紅袍を身に着け、左手には生死簿を持ち、右手には勾魂筆を握っています。崔判官の職務は善人の寿命を延ばし、悪人を陰に帰らせることです。

《西遊記》には、生前の崔判官は姓は崔で名は珏であると書かれており、唐の太宗の李世民の臣下で茲州県令となり、その後礼部侍郎に昇進して時の丞相の魏徴と深い親交を結びました。生前は清く正しく務めを果たしたため、閻魔大王に最も近い判官になり、賞善悪罰、人の生死などについての審査をするようになりました。そして手には生死簿と勾魂筆を持ち、誰が死ぬべきで誰が生きるべきかの判断を瞬時に下します。

ある日木こりが山で柴を切っていると突然猛虎に襲われ食べられてしまいました。残された母親は生きる希望を失い役所で息子の無罪を主張しました。崔珏はすぐに決断し、虎を捕らえに役人を遣わしました。そして山にある廟の奥に虎が潜んでいるのを見つけて捕縛しました。役所に連れて来られた悪虎に対して崔珏は人を傷つけた罪を数え上げると、そのたびに悪虎はうなずきやがて判決が下されました。その内容は”人を食べた罪は許されない。”であり、虎は自殺しました。




当年唐の太宗は涇河(けいが)の龍の件で突然崩御してしまいました。これは二か月前に陰司三曹が対質した案件でした。魏徴(ぎちょう)の度重なるお願いに崔珏は個人的に太宗の寿命を二十年延ばすことにしました。この世に帰る途中、太宗は偶然自分に掃討された六十四所の戦火と七十二家の中で濡れ衣を着せられて悲惨な死を遂げた魂が自分の命を狙っているのを見ました。崔珏は前に出て自分の金銀をその衆鬼に与え、太宗は自分の体に戻ることが出来ました。このため崔珏の名声は高まり、崔珏の死後に多くの民が廟を建てて崔珏を祀りました。

出典:baidu

下のリンクをクリックすると中国の神獣や妖怪をまとめたページへ移動します。

中国の神獣妖怪のまとめページ




シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする