最近の人類学の発展は目覚ましく、人類の発生から移動、そしてほかの類人猿との混血の時期や場所まで推定できるようになっています。人類の祖先は200万年くらい前にアフリカで誕生したと言われています。そして、時間と共に次第に分かれていき、ネアンデルタール人や北京原人など様々なヒト亜族に分かれました。20万年くらい前には、多くの人類の親戚がユーラシア大陸に住んでいたことが様々な発掘でわかっています。
人類は10万年以上前にアフリカを旅立ちました。そして到着したのが中東です。そのころ、ユーラシア大陸全土にはネアンデルタール人やフローレンス人と言った人類の親戚が暮らしていました。そして、当然のことながら両者が出会ったときに、異種交配が行われました。つまり、人類はアフリカを出てヨーロッパ方面とアジア方面に分かれて進むときに、ネアンデルタール人などと異種交配を行いつつ移動は続きました。その時期も場所もバラバラですが、アジア人とヨーロッパ人には共にネアンデルタール人のDNAが含まれているのです。我々日本人にも含まれています。我々の体内にあるネアンデルタアール人特有のDNAの長さを調べることで、交配の時期を推測できます。世代を重ねるごとにDNAは短くなるからです。短いほど古い世代で交配したことを示します。また、ネアンデルタール人のDNAの割合が多いほど異種交配が盛んにおこなわれたことを意味します。
【人類の起源】4万年前の人類のDNAにはネアンデルタール人のDNAが大量に含まれ、異種交配していたことが明らかになる
研究によれば、東アジア人、おそらくは我々日本人をはじめアジア人の祖先の方がネアンデルタール人と長期間異種交配がなされていることが研究によりわかりつつあります。
ネアンデルタール人は東アジアに住んでいた人類と長い期間異種交配していた
さらに、人類が中国に到着したグループでこれまでわかっている到着時期は、何と8万年前でした。8万年前にはすでに中国南部へ到着していたのです。
【人類の歴史】アフリカを出た人類は最初にヨーロッパではなく中国へ向かったことが判明
また、インドネシアで面白い発見もありました。インドネシアのフローレス島には、1万8千年前にホビットと呼ばれる小人族が住んでいました。成人でも90センチと非常に小柄です。これは、アイランドエフェクトにより、人類が小型化したのだと考えられていましたが、何と人類とは別種のヒト亜種であったのです。
この発見の何が面白いかというと、中国にはネアンデルタール人のみではなく、その他のヒト亜種も数万年前に存在していたということです。つまり、様々な人類の亜種たちが生活していた可能性が一気に高まりました。そして、現生人類はネアンデルタール人と異種交配しているのであれば当然他の種とも出会い、異種交配が行われていたと推測されます。
フローレス島に住んでいた小さなホビットは人類とは別な種族であることが判明
アフリカに残った人類とは別に、アフリカを旅立った人類は、アフリカを出たあと、中央アジア方面とヨーロッパ方面に分かれて進みました。その行く先々には様々なヒト亜種が生活しており、おそらくは攻撃し、異種交配しつつ生息圏を拡大させていったと推測されます。実際に様々なヒト亜種が生活していたが、現在に残っているのが我々現生人類だけです。これは、何を意味するのか?知性が高くさらに攻撃性も高い人類が残るのも理に適っていると言いましょうか、あまり考えたくない部分ですね。