金烏:太陽の正体は何と鴉だった!中国神話の中で太陽の中にいるとされている三本足の鴉

金鳥(きんう jiu1wu1 ジンウー)

古代中国では太陽の中には黄金色の三本足の烏鴉(からす)が住んでいると信じられており、昔の人々は金烏や赤烏を太陽の別称として使用していました。唐朝の韓愈の詩には、”金烏海底初飛来”と、白居易の詩には、”白兎赤烏相趁走”(月(白兎)と太陽(赤烏)が相互に追いかけている。)とあります。古の人は烏飛兎走の比喩で太陽が速く過ぎることを表現しました。金烏は中国神話中の大英雄である羿が倒した怪獣の一つでもあります。

  • 羿と金烏の神話

堯帝の時代、空に忽然と十個の太陽が現れ一斉に大地を照らしました。大地は焼け草木は涸れてこれまでに経験したことのない大干ばつに人々の苦しみは筆舌に尽くしがたいものでした。

この事態に帝堯は天帝に救援をお願いしました。この願いに天帝は堯の元に羿を遣わしました。羿はまたの名を后羿と言い、弓術に長けた神でした。后羿が天帝に出立の挨拶をした時、天帝は羿に一張りの紅色の弓と矢が詰まった白色の矢筒を下賜しました。




后羿は人間の妻である姮娥(こうが)を連れていました。姮娥はまたの名を嫦娥(じょうが)と言い、非常に美しい女性でした。堯帝は彼らを見ると大喜びして熱烈に歓迎し、すぐさまその神力を使って地上を照らし続けている太陽を懲らしめるようにお願いしました。

后羿は帝堯の誠意あるお願いに十分得意ですぐに天帝から下賜された弓矢を取り出し、広場へと向かい天空に十個ある太陽の内の一つに狙いを定めて矢を放ちました。射た直後は何も起こらず静けさが漂っていましたが、その刹那に矢が当たった太陽は猛烈な勢いで爆発し、火光は飛び散り金色の羽毛が落ちてきました。

そして、一つの紅色に輝く物体が見つかると人々はその物体の元に走っていき、一体何であろうかとまじまじと見ました。すると、その物体はこの上なく巨大な黄金色の三足の烏鴉で、その巨大な烏鴉の上に神弓を構えて立つ后羿の姿を見ました。そして、空を見てみると太陽が一つ減っていました。人々は歓喜の声を上げ拍手喝采して羿を称えました。

后羿はさらに得意となり、二射、三射と続けざまに矢を放ち、一つまた一つと着実に太陽の数は減っていきました。その様子に人々の歓喜の声は絶え間なく沸き上がりました。太陽の減少に伴い、次第に気温が低下して風が冷気を帯びていき地上の干ばつは収まりました。この神話は《淮南子・本経訓》に見られます。

后羿はこの金烏以外にも修蛇(しゅうだ)や窫窳(あつゆ)など様々な悪獣たちを退治しています。

修蛇に関しては以下をご覧ください!

化蛇、巴蛇(修蛇)、委蛇など様々な恐ろしい中国の蛇の妖怪たち

窫窳に関しては以下をご覧ください!

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淮南子:不思議な生き物についても書かれている西漢時代の思想書

出典:baidu

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