【中国】キョンシー(僵尸)は実在するのか?:キョンシーになってまで友人に家族の世話を頼んだ人

死後、キョンシーになって友人に頼みごとしたというお話です。頼みごとをした後、友人に襲い掛かったという、友人は頼み事をされるは襲われるは踏んだりけったりで可愛そうでした。詳細はどんなだったのでしょうか?早速内容を見てみましょう。




キョンシーに関しては以下の記事にまとめてありますので、是非ご覧ください。

キョンシーを徹底解説!中国のキョンシー実在調査のまとめ

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天啓年間(1621年- 1627年)、江西洪都県(今の南昌市)に張さんと劉さんという二人の学問を志す人がおり、街の郊外の北蘭寺で勉学に励んでいました。張さんの方が少しばかり年上でしたが、同じ釜の飯を食べ、苦楽を共にしていました。ある日、張さんは実家に用事があったために帰省しましたが、家に帰り着くと突然急病にかかり、二日後に死亡しました。恐らくは脳溢血だった思われます。

この知らせはお寺には届かなかったので、お寺にいた劉さんは張さんが亡くなったことを知りませんでした。夜になり、寝静まったころ、突然門が開く音がしました。気がつくと、張さんが寺の中に入ってきており、床の上に座っていました。劉さんは張さんに、なぜこんな夜更けに戻ってきたのかを尋ねました。




張さんは劉さんの背中に手のひらを当てて、悲しそうにこういいました。”私はあなたと別れて二日しかたっていませんが、突然の病で死んでしまいました。私は今ではもう人ではありませんが、友人との情は切れませんでした。それであなたとのお別れを言いに来たのです。”劉さんはこのことを聞いて、背筋が凍り、冷や汗が背中を伝って流れ落ちるのを感じながら、布団の中でがくがく震えて、一言も発せずにいました。張さんはこの様子を見て、劉さんを安心させるようにこう続けました。”私はあなたに危害を加えるつもりはありません。今一度、あなたと言葉を交わしたいだけですので、恐れる必要はありません。ここに来て、あなたに私の死後のことをお願いしたかったのです。”

このことを聞いて、劉さんは少し安心しましたが、震える声でこう聞き返しました。”何を頼むのですか?”張さんは答えます。”私には老いた母親がいます。歳はもう七十歳を超えます。妻は三十歳にもなっておらず、子供は五歳です。生きて行くためには毎年米が必要です。何とか都合いただけないでしょうか。これが一つ目のお願いです。さらに、今書きかけの本がありますが、これを完成させて私の名前で出版し、世に広めていただけないでしょうか。これが二つ目のお願いです。最後に、筆墨の商人にまだ支払っていないお金が数千銭あるので、これを私に代わって支払っていただけないでしょうか。これが第三のお願いです。これまでの我々の兄弟の付き合いから、これらのことをあなたにお願いします。”劉さんは聞き終わると、力強くうなずき、張さんのお願いを聞き入れました。返答を聞いて張さんは立ち上がり、言いました。”あなたの返答を聞いたので、私は去ります。”




話し終わるや否や、張さんはお寺の門を出ようとしました。劉さんは張さんをみて、いつもと変わらない様相で、言動にもおかしなところは無く、話には情も理も見て取れました。この門が生と死の境で、ここから出ていくともう会えないと思い、劉さんは泣きながら言いました。”張さん、私に別れを言いに来たのであれば何でこんなに短い時間しかいないのですか?もう少し話をしていっても遅くは無いはずです。”これを聞いて張さんも別れが辛くなり、戻ってきてまた床に座りました。二人は時間を忘れて話しました。空が明るみ始めたころ、張さんは言いました。”もう遅くなりました。私は行かなければなりません。”言い終わると立ち上がりましたが、立ち上がってそのまま動かずにいると、両目が突き出し、灰色に変わり、外見が見る見る変化していきました。

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これを見て劉さんは怖くなり、言いました。”張さんのはなしはわかりました。もう行ってください。”しかし、張さんは一言も話さず、瞳はうつろで動かなくなってしまいました。劉さんは床を叩き、大声を出しましたが、張さんは動きません。劉さんは我慢できず部屋を飛び出し逃げてしまいました。その後、張さんは動き出し、劉さんを追いかけました。




張さんに追いかけられて逃げていると、目の前に低い壁があり、劉さんは思い切りジャンプして飛び越えましたが、着地のとき転んでしまいました。しかし、張さんの体は硬くなっており、壁を飛び越えられませんでした。壁をはさんで張さんのうつろな目が転んで地面に倒れている劉さんを見つめました。口からはよだれをたらし、そのよだれが劉さんの顔に滴り落ち、劉さんは気を失いました。空が明るくなり、人の往来が始まると、壁の両脇に遺体と人間が倒れているのを見つけました。劉さんは通りがかった人に助けられました。当の張さんの家では張さんが劉さんの家に現れたまさにその夜に守霊をしていましたが、目を離すと遺体が消えていました。家のものはみんなで遺体を捜しましたが見つかりませんでした。それもそのはず、劉さんのもとにやってきたからです。そして、朝になり壁の脇に張さんの遺体があったという知らせを聞いて張さんの遺体は棺に入れられて葬られました。

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人が亡くなると、昔の人はこのように説明しました。すなわち、肉体と魂魄は一緒にあり、魂と魄はそれぞれ独立して肉体に宿っています。魂は聡霊善良で魄は愚昧邪悪である。人が死ぬ瞬間、魂魄は共にあり、そのために良知を持っています。亡くなった時に魂霊は体からはなれて魄だけが遺体にとどまった状態をキョンシーと言います。この世の遺体が動く現象は、全て魄が原因です。また、修行を積んだ道士たちはこの魄を制御する方法を知っていますので、キョンシーをうまく動かすこともできるのです。
出典:www.gui5

キョンシーになってまで、自分の家族の世話、残った仕事の完成、借金の返済までお願いした責任感あるのだか迷惑だかよくわからない人の話です。生前の思いが遺体に魄を留めてしまい、キョンシーとなってしまいました。キョンシーの階級的には第一級の紫殭でしょう。

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