広成子:封神演義にも出てくる黄帝の師であり崑崙山十二金仙の筆頭

広成子(こうせいし guang3cheng2zi3 グァンチョンズ)

広成子は黄帝時代の道家の仙人で、道教十二金仙の一人に数えられています。日本では封神演義に出てくる仙人として馴染みがある方も多いかと思います。封神演義は明時代に書かれていますので、封神演義の広成子の元ネタはそれ以前に書かれた神仙伝にあります。

仙人には地仙や天仙などのランクがあり、天仙が最上位です。そして金仙は特に優れた天仙の中から選ばれます。広成子は特に黄帝に道を説いた仙人として有名で、このため道教でも高い地位を得ています。黄帝が広成子により道を伝授されて以降、黄帝が道教の始祖とも言われるようになりました。

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《庄子・在宥篇》には、”黄帝が広成子に道を問う”が記載されています。これは故事の形式を取ることで道家にわかりやすく道について説明しており、道家が身を治めるための本となっています。さらに、この内容は道教の変化と道教の修練の術を作り出すことに大きな影響を与えています。




広成子は崆峒山(空洞山とも)に居り、黄帝の師でもあります。伝説によれば広成子は1200歳まで生きたと言います。《庄子・在宥篇》には、”黄帝は空同に広成子がいることを聞いた、故に行きて之を見、道に至る要を問うた。”とあります。

道教で言う道は、”道可道、非常道”、即ち道の道とすべきは常の道に非ず。であり、言う道とは宇宙の真理のことで、道路の事ではありません。黄帝が道に迷って広成子に帰り道を聞いたなどという解釈ではないので気を付けたいです。

時代が過ぎると、広成子は老子の事であるとも言われるようになりました。黄帝時代は今から5500年前、老子は2500年前と時代が大きく異なりますが、仙人ですので時間はあってないようなものなのでしょうか。

老子は道教の始祖のように扱われる場合がありますが、始祖ではなく老子の思想が道教に取り入れらたという関係です。そのため、道教では老子は大切に祀られています。

  • 神仙伝における広成子

《神仙伝》には広成子は以下のように紹介されています。広成子は古代の神仙の一柱で、汝州西北崆峒山の石洞の中に住んでいました。黄帝がこれを聞いた後、広成子を訪問し道に至る要を請いました。広成子は黄帝に対して、あなたはすでに天下を治めている。渡り鳥は移動の季節になっても旅立たずその地にとどまり続けており、草木はまだ凋落を知りません。そんなあなたが私と何を話そうというのです?と言いました。黄帝は帰った後、政治も顧みず何事も行わずに三か月間ずっと考え続けました。そして再び広成子に会いに行き恭しく跪いて広成子の前に行き、再三頭を下げて修身の方法を求めました。広成子は言いました。




”道を修めて至る最高の境地は心中の一片の空漠です。すなわち何も見えず何も聞こえない状態です。精神を凝らして静を修めるとあなたの肉体は必ず十分に綺麗になり、あなたの心は非常に爽快になります。あなたの肉体の疲労はなく、精神の疲労もなく、あなたは長く生きることができます。内面の修練を重ね、外界の干渉を排除し、俗世はあなたの真性を腐敗させることを知ります。私は頑なに心に集中することができるので、悠久の時間で心を平和に美しく無を成し、よって千二百歳まで生きることができています。そして体には一点の老衰の兆しすらもありません。私の道術を得れば王君をなすこともできるでしょう。しかし、私の道術を失えばただの俗世の取るに足りない人物になってしまうでしょう。私の道はあなたを道窮の門に向かわせ、無極の原野に遊び、日月と同じうように輝き、天地と共に存在できるようになります。人がみな死んでも私の道を得た人は天地が存在する悠久の時間を生きることができるのです。”

広成子は言い終わると黄帝に《自然経》一巻を伝授しました。

正統道教では、広成子は黄帝時代に上老君の化身をなしたと言います。《太上老君開天経》では、”黄帝の時、老君は師となり広成子と称した。”とあります。

《庄子・在宥》には、”黄帝が天子となり十九年、天下を調べさせ、広成子が空同山にいることを聞き、故に会いに行った。”陸徳明は”広成子はすなわち老子である。”と解釈しています。

  • 古典文学中の記載

日本でも非常に有名は《封神演義》中では広成子は元始天尊の第一位の弟子です。玉虚宮中の第一位の撃金鐘の仙人で、崑崙十二金仙の筆頭です。元始天尊の寵愛を受け九仙山の桃源洞で修業を行いました。封神演義中では出番も多く活躍が見られています。

出典:baidu

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