オーストラリア、シドニーのタロンガ動物園で生まれた生後6ヶ月のクアッカワラビーの赤ちゃんが飼育員たちの心を鷲づかみにしています。クアッカは有袋類でカンガルーの仲間です。
この子供は今年の繁殖期に生まれた三匹のワラビーのうちで、最も若いメスでミアと名づけられました。飼育員たちはクアッカはタロンガ動物園の教育センターで最も重要な役割を果たしており、クアッカたちと触れ合うことで子供たちは自然動物の保護の重要性を学んでいます。
クアッカはオーストラリアの中で最も小さいワラビーの一種です。クアッカの大部分はウェスタンオーストラリアのロットネスト・アイランドに生息しており、その他ウェスタンオーストラリアの南西部に少数生息しています。この種は生息域の狭さからレッドリストでVUにランクされています。
クアッカはかつてオーストラリア全土に生息していましたが、3500年ほど前にディンゴが渡ってくると急速に個体数を減らしていきました。今日まで自然保護局の保全活動により徐々に個体数が増加しつつあります。専門家は、現在ロットネスト・アイランドの一部で繁殖していると語ります。
タロンガ動物園の飼育員のベックさんは、クアッカを絶滅から守るために、動物園での保護の必要性を説きます。”もし、クアッカの生息域で自然災害や疫病の蔓延等が起こると、クアッカはたちまち絶滅してしまいます。動物園等で一定数を確保しておくことは非常に重要です。”と訴えます。ベックさんはミアの育ての母です。
ミアは正式にはMeeuk Miaといい、西オーストラリアの先住民のヌンガー族の言葉で、月の後光を意味します。ベックさんは簡易ポーチを作り、数週間その中にミアを入れて育てていました。朝の2時に一日五回与えるミルクのうちの一回を与えましまた。
“彼女は小さな登山家です。彼女は登ることが大好きで、朝のティータイムなどに他の飼育員の肩や頭の上によく登っています。夜中にふと目を覚ますと、ベッドの隣に置いてある寝床の枕の頂上に上って、自分を見下ろしていたります。”クアッカは厚いごわごわした灰-茶色の短い毛で覆われており、耳は丸っこくふわふわです。尻尾は24-31cmあり、他のカンガルーの仲間に比べて短い足を持っています。
クアッカは非常に珍しい性質を持っており、なんとほとんど水を飲まなくても生きていけます。さらに木にも登れます。クアッカは難病の筋ジストロフィーの製薬調査にも使われてきました。
今現在、ミアには特製ミルクが与えられています。そのほかにもその辺に生えている草や花を時折かじっていますが、来週からミアにはミルクを離れて固形物が与えられる予定です。”午前二時のミルクは結構辛そうで、ミルクを飲んでいる先から寝てしまいます。”とベックさんは言います。ミアはタロンガ動物園教育センターの他のクアッカ達の仲間入りが出来るまでベックさんによって育てられる予定です。タロンガ動物園は種の絶滅に備えた絶滅危惧種たちの国際保護プログラムの一拠点です。
出典:dailymail