水素の核融合反応は太陽で起こっています。また、核分裂反応は、現在原子炉として実用化されています。もちろん核融合も核分裂も核爆弾としても実用化されています。これ以外に核分裂が起こっているか、というと実は起こっているのです。場所は地球中のいたるところです。
原子炉に使用されるウラン235は、ウラン鉱山でウラン238に混じって産出されます。産出したウランをフッ素と反応させて6フッ化ウランとした後、遠心分離機でウラン235と238を分離します。遠心分離機は何台もつなげてそれぞれリンクさせて、カスケードと呼ばれる遠心分離機群を作っています。このカスケードを使って、ウランを濃縮します。ウラン235の方が軽いので、遠心分離機で分離した後には、ウラン235は上部に集まります。これを何度も繰り返すことで、ウラン235が濃縮されていきます。濃縮されたウランは濃度次第で一気に反応するか、徐々に反応するか性質が決まります。濃度が高ければ一気に反応して原子爆弾として使用できますが、濃度が低ければ徐々に反応するので、原子炉の燃料として使用できます。
ウランを濃縮すると、核分裂を行う頻度が高くなるだけで、核分裂反応は一気に進む場合も、徐々に進む場合も、トータルで放出するエネルギーは変わりません。ウラン235は(238も)自然にある状態でも実はゆっくりと核分裂を行って少しずつ熱を放出しています。つまり、ウランは自然界にあるだけで、熱を発生し続けているのです。ただ、これは地表面ですぐに冷えてよくわかりませんが、熱の保存という観点から、地下で重要になります。地下の熱は逃げにくいので、ウランに限らず様々な物質が核分裂した時の熱が保存されているのです。
ウランなどの半減期を持った核分裂を行う物質は地表面のみならず、地球内部のいたるところに存在しています。それらの物質は少しずつ核分裂反応を起こして熱を放出しています。
特に、地球内部では熱が保存されやすいので、核分裂で発生した熱が保存されて、その発生した熱量はいくらかや、どのくらいの熱量が地表面から放出されたのかなどがよく議論の対象になっています。