太陽では主に水素が核融合反応を起こして膨大なエネルギーを放出していることはよく知られています。核融合反応は鉄より小さな原子では原子核の融合によってエネルギーを取り出せます。しかし、鉄以上の重い原子が核融合すると、一般にエネルギーを吸収してしまうので、核融合が進んだ恒星の内部に鉄ができ始めると、鉄によりエネルギーを吸収されるため、恒星は次第にエネルギーの放出ができなくなり、恒星の大きさに応じて、超新星爆発や中性子星、ブラックホールなどに形を変えていきます。
核融合の対極にあるのが核分裂反応です。これは一般に重い原子核がエネルギーの放出をともない、二つ以上の原子核に分かれることです。現在の原子炉に使われているのは、核分裂反応です。核分裂反応の方が制御しやすいので、実用化できていますが、欠点があり、放射性物質や放射線と言った放射能を大量にもたらします。また、水素爆発やメルトダウンの危険もあります。
一方で、水素の核融合はそれほど放射能はありませんし、万一反応炉が故障しても、プラズマが弱まるだけで、核爆発はしませんので、一般にクリーンなエネルギー源とみなされています。水素の核融合炉はトカマク型の核融合炉ですすめられていますが、高温高圧のプラズマの閉じ込めが難しく、実用化には今一歩です。しかし、実用化できると、人類は無尽蔵ともいうべきエネルギーを手に入れることができますので、非常に魅力的なエネルギー源です。
現在では、ドイツのマックスプランク研究所で、ベンゼルシュタイン7-Xと名付けられているドーナツをねじったようなトカマク型の核融合炉で実験が行われており、実用化もできそうな感じもします。核融合には高温高圧の水素プラズマが必要です。太陽は、自分の重力で高圧状態を実現しています。この状態を地球上で実現しようとすると、プラズマを磁場で閉じ込める必要があります。この閉じ込めが非常に難しく、苦戦しています。
しかし、簡単な核融合炉自体を作ることは可能で、法律で制限されていないアメリカではガレージで核融合炉を作っている人が沢山います。核融合に成功したという方も何人も出現しています。ただし、反応は一瞬ですので、エネルギーを取り出すためではなく、趣味として行っています。また、核融合は水素爆弾としてはすでに実用化されており、強力な核爆弾となっています。核融合は核爆弾としてではなく、エネルギー源として使用できるようになることを願っています。