遺伝子解析のやり方

遺伝子解析により、これまで生き物の様々情報が得られました。医学的には病気の原因になる遺伝子などが判明しており、遺伝子治療も行われています。しかし、一歩立ち止まってみると、そもそも遺伝子とは何なのか?また、遺伝子解析とは何なのか?という疑問を持たれる方も多いと思います。今回は遺伝子解析について説明します。

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遺伝子とはDNAとも言われてデオキシリボ核酸のことです。名前に酸がついていますが、酸性を示します。DNAが二重らせんであることはよく言われていますが、このDNAが2重らせんであることは、エックス線回折により判明しました。DNAは全てつながっているので、一本の長い分子と言えます。DNAの持つ能力に、自分を複製することとRNAを作ることにあります。自分を複製するのは1つの細胞が2つに増える細胞分裂などの場合です。もう一つのRNAはアミノ酸を作り、たんぱく質を合成します。このアミノ酸を作り出す能力が重要で、このアミノ酸が身体を構成するもとになります。つまり、DNAの遺伝情報とは体内のどの位置でどのアミノ酸を作り出すか、ということです。作られたアミノ酸はたんぱく質へと合成されて身体を構成する一部として使用されます。


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どうやってアミノ酸を作り出せるかと言いますと、アデニン(A)やグアニン(G)やウラシル(U)と言ったDNAを構成する最小の単位であるヌクレオチドの配列によって決まります。アミノ酸を作るのはmRNAと呼ばれるDNAに似た分子です。mRNAはDNAを写し取ることから作られますが、このときポリメラーゼという酵素が使われます。このヌクレオチドが三つ集まったら様々なアミノ酸が作れるようになります。この三つのヌクレオチドの組み合わせをコドンと言いますが、有名なアミノ酸であるうま味調味料でも使われる、グルタミン酸はGAAやGAGの配列で作れます。体内の細胞はせっせと毎日アミノ酸を作っています。

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遺伝子解析を行うときのポイントは、複製したい区間の最初と最後のヌクレオチドの配列があらかじめわかっていることです。そのわかっている配列のDNAの断片を準備します。有名な配列は生物化学関係のメーカーから購入できます。また、最初と最後遺伝子の長さは短すぎると、ぴったり合う場所が出てくる別な場所が出てくる可能性が高くなり、複製しなくてもいい部分も複製されて実験結果に何重ものバンドが出てしまいます。長すぎると、そもそもヌクレオチドの配列が一致しない可能性があり、複製できない場合がありますので、適切な長さが好ましいです。


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DNAの二重らせんは水素結合という弱い結合でつながっているので、熱を加えると二重らせんが離れます。そこに、複製したい部分の最初と最後のDNAの断片と、DNAの原料であるヌクレオチド、そして複製するための酵素であるポリメラーゼを入れて上げると複製が開始されます。これはPCR(polymerase chain reaction)法と言われる方法で、PCR装置は結構小さいものもあります。温度を上げたり下げたりして複製を促します。一つ複製ができるとあとはネズミ算式に増えていきます。

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装置のプログラムが終了すると、成功していれば欲しい部分のDNAが大量に複製されています。そこで、この複製されたDNAのみを分離して調査しますが、このとき電気泳動を用います。要するに、複製された部分が短ければ軽いので遠くまで流れ、長ければ少ししか進みません。寒天みたいなゼリー状のゲルに複製した遺伝子を入れて電気を流します。下のような機器を使います。

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写真出典:株式会社テックジャム

もちろん一種類では意味がないので、比較のためのサンプルも入れます。電気を流すと遺伝子は徐々に寒天中を進んでいき、適当な時間が経つと遠くまで進んだもの、あまり進まなかったものなどでバンドができます。このバンドが完全に一致していれば、複製した部分の遺伝子は一致しているということなので、親子や血縁関係を示し、よく遺伝子による親子関係の確認などに使用されます。下の写真が実際の研究で使われた遺伝子検査結果のバンドです。バンドの位置が微妙に異なっているのは、遺伝子の長さが少し異なっているということです。

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写真出典:aist

気を付けなければならないことに、絶対に他の遺伝子と混ざらないことです。コンタミネーションと言いますが、解析結果に、もともとのバンドと別の遺伝子のバンドが二本出てしまい、どちらが本物か区別がつかなくなってしまう場合があるためです。そうなるとどんな言い訳も通用しません。一般的に生物学ではコンタミネーションに非常に気を使います。カビを培養しても、別のカビが混ざってしまうと意味がありません。混ざらないように細心の注意を払います。


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面白いのが、特定の遺伝子は世代を重ねるごとに短くなります。このことに着目すると、人間とネアンデルタール人が異種交配をしていたことに加えて、その年代も推測できるようになったことです。

【人類の起源】4万年前の人類のDNAにはネアンデルタール人のDNAが大量に含まれ、異種交配していたことが明らかになる

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ネアンデルタール人は東アジアに住んでいた人類と長い期間異種交配していた

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