【宇宙】燃料タンク一つで火星まで行けてしまう超低燃費の新型プラズマエンジンが完成するかも!?

アメリカNASAで補給なしで火星まで行ける、新型プラズマエンジンについての研究が行われています。”ホールスラスタ”と呼ばれているこのエンジンは、衛星や探査機を軌道上で安定させるのに用いられていますが、今回、フランスの研究チームがこのホールスラスタを改良し、より高性能なスラスタ作成への道を切り開きました。
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ホールスラスタは、72km/hのプラズマ流をノズルから噴出させることで宇宙船を前進させますが、燃費が非常に優れており通常の炭化水素や水素を用いたエンジンに比べて燃料消費を抑えることができるので、火星や小惑星、太陽系の端まで探査する際の探査機の推進システムとして検討されています。

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燃料消費を抑えることにより、その分宇宙船を大型化できるので、多くの物資を積み込め、宇宙探査計画を強力にサポートすることでしょう、と研究者たちは指摘します。問題は、ホールスラスターの寿命です。現在は10,000時間稼働できますが、稼働期間は一年と少しです。これでは短すぎます。最低でも50,000時間は必要となります。

ホールスラスタの寿命を延ばすために、フランス国立科学センターの研究チームは、ウォールレススラスタというタイプのスラスタ研究を行っています。現状のホールスラスタは、電磁場での低圧プラズマ放電を作り出すことによって駆動します。プラズマは原子が電離して、陽イオンと電子に分かれた状態をいいます。

ホールスラスタは、磁場とこの磁場に直行する電場がかかっており、電場によりプラズマ中の電子及び陽イオンがそれぞれ逆方向に加速されます。陽極はスラスターからの電力供給により、正に帯電されており、陽イオンを反発させることで加速させます、従って陽極はより上流側である宇宙船側にあります。

電子は、陽極のほうに吸い寄せられるので、陽極側へと加速されて電子の流れを作りますが、スラスターに設置されているコイルから作られる強力な磁場中を通過した時に、磁場によりローレンツ力を受けて電子はくるくる回りながら陰極と陽極の間にトラップされます。このトラップされた電子が継続的にプラズマを発生させ、プラズマを維持させます。

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一方の陽イオンも電場によって陰極に吸い寄せられますが、うまいことにホール効果が働いて陽極から一直線に陰極へはいかずに、出口方向にねじ曲がります。磁場でトラップされることもなくノズルから放出されることで、宇宙船が動きます。電子はスラスタのノズル内でトラップされて、出ていくのは陽イオンのみとなります。推進剤としてはキセノンやクリプトンといった不活性ガスが用いられます。

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”ホールスラスタの大きな欠点は、プラズマを発生させる壁の部分の素材です。この素材がプラズマ放電の性質を大きく変化させるとともに、プラズマによる劣化が起こるので、この壁の部分が寿命を決定しています。”と、ICARE-CNRS研究室のStéphane Mazouffre 教授の電子推進グループの一員のJulien Vaudolon氏が説明します。また、プラズマを発生させる壁はプラズマ中への電子を供給の役割もになっています。つまり、プラズマ中の陽イオンが壁に衝突した際に、壁から電子が放出されるのです。重要なのは、陽イオンが壁に衝突した際に、壁にダメージを与えるということです。従って、使用に伴う劣化が避けられず、スタスタの寿命を短くしているのです、と付け加えました。

今回開発したウォールレスホールスラスタは、この欠点を改良しています。つまり、ネックとなっていた壁がないので長寿命を期待できます。プロトタイプは通常のホールスラスタを改良したものです。”ウォールレススラスタは、通常のホールスラスタと比較することで、壁の在りなしによるプラズマの状態を観察することができます。”と、Vaudolon氏は語りました。

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しかし、彼らの最初の実験では推進の効率は低かったといいます。これは、磁場が電場と正確に直交していなかったためでした。そこで、陽極の位置を工夫して磁場の向きの変更に成功しました。”何十年にもわたる研究にも拘わらず、ホールスラスタは一般には認知されていません。また、装置自体まだまだ改良の余地があります。最も難しいことは、壁とプラズマの相互作用の解明です。そのために、このウォールレスホールスラスタは大いに役に立つことでしょう。”

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