第二次世界大戦レシプロ機編:世界中の戦闘機を集めて比較してみた。

戦闘機特集の第三回目は第二次世界大戦中に作られた戦闘機についてです。

戦争は発明の母である、といわれるとおり、戦争は科学技術を著しく向上させます。第一次世界大戦から第二次世界大戦中には、無線、レーダー、毒ガス、爆弾、ロケットミサイル、原子爆弾など様々な技術が開発、実用化されました。


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戦闘機は、エンジンの馬力アップに伴い二枚の主翼からなる複葉機は姿を消し、一枚だけの単葉機が主流になりました。より最高速度と加速を上昇させるためにエンジンを二つ積んだ双発機も登場しましたが、機動力が低下するため空中戦を行う戦闘機には主に単発が用いられています。さらなる機動力獲得のため、ゼロ戦のように主翼の取り付け位置を胴体の真下に持ってくる低翼の機体が現れました。また、機関銃の攻撃に耐えるために装甲も厚くなり、重量もどんどん重くなっていきました。

今回は第二次世界大戦のレシプロ(車のエンジンと同じ原理のピストンで回転を得る方式)機のご紹介です。

初飛行の年、最高速度、上昇速度の表
第二次世界大戦
名称 生産国 初飛行
(年)
最大速度
(km/h)
上昇速度
(m/s)
一式戦闘機 隼(はやぶさ) 大日本帝国陸軍 1938 515 17.4
二式単座戦闘機 鍾馗(しょうき) 1940 605 18.8
二式複座戦闘機 屠龍(とりゅう) 1941 547 11.9
三式戦闘機 飛燕(ひえん) 1941 590 15.1
四式戦闘機 疾風(はやて) 1943 624 13.0
五式戦闘機 1945 580 13.9
零式艦上戦闘機 零戦(ぜろせん) 大日本帝国海軍 1939 533 13.4
二式水上戦闘機 1941 437 12.2
雷電(らいでん) 1942 596 17.8
強風(きょうふう) 1942 489 15.9
紫電(しでん) 1942 583 17.9
紫電改(しでんかい) 1944 594
烈風(れっぷう) 1944 624 16.8
メッサーシュミット Bf110 V1 ナチス・ドイツ 1936 509
メッサーシュミットMe210 1939 563
メッサーシュミット Me410 1942 620 9.3
フォッケウルフFw 190 ヴュルガー 1939 670
フォッケウルフ Ta152 1944 751
ハインケル He 100 1938 670
メッサーシュミットMe 209 V5 1943 678
フィアット G.55 チェンタウロ イタリア 1942 620
マッキ MC.202 フォルゴーレ 1940 600 18.1
マッキ MC.205 ヴェルトロ 1942 640
レッジャーネ Re.2000 ファルコ 1939 530 11.0
レッジャーネ Re.2001 アリエテ 1940 542 13.0
VL ミルスキ フィンランド 1941 530
IAR-81 ルーマニア 1941 485 9.7
ロッキード P-38L ライトニング アメリカ陸軍 1943 667
ベル P-39 エアラコブラ 1939 605 19.0
カーチス P-40 ウォーホーク 1938 565 9.7
リパブリック P-43 ランサー 1939 573
リパブリック P-47D サンダーボルト 1942 697
ノースアメリカン P-51D マスタング 1940 703
ベル P-63 キングコブラ 1942 660
バルティ P-66 ヴァンガード 1939 547
リパブリック XP-72 1944 772 26.8
ブルースター F2A バッファロー アメリカ海軍 1937 520
ヴォート F4U コルセア 1940 671
グラマン F4F ワイルドキャット 1937 515 8.2
グラマン F6F ヘルキャット 1942 612
グラマン F7F タイガーキャット 1943 740
グラマン F8F ベアキャット 1944 678
ウェストランド ホワールウィンド イギリス空軍 1938 579 12.9
ウェストランド ウェルキン 1942 637
ブリストル ボーファイター 1939 515 8.2
ボールトンポール デファイアント 1937 489
スーパーマリン スピットファイア 1936 605 13.5
ホーカー ハリケーン 1935 523
ホーカー タイフーン 1940 648
ホーカー テンペスト 1942 687
スーパーマリン シーファイア イギリス海軍 1936 605 13.5
ブラックバーン ファイアブランド 1942 560 13.2
フェアリー フルマー 1940 398 6.1
フェアリー ファイアフライ 1941 509
MiG-1 ミーグ・アヂーン ソビエト 1940 640
MiG-3 ミーグ・トリー 1940 640 11.1
Yak-1 ヤーク・アヂーン 1941 569
Yak-9 ヤーグ・ヂェーヴャチ 1943 591 13.7
ラボーチキン・ゴルブノフ・グドコフ LaGG-3 1939 575
ラボーチキン La-5 1941 648
ラボーチキン La-7 ラー・スィェーミ 1944 680 18.5
デヴォアティーヌD.520 フランス 1938 529
IK-3 ユーゴスラビア 1938 526
CAC CA-12 ブーメラン オーストラリア 1942 491
サーブ 21 スウェーデン 1943 640
FFVS J22 1942 575

ヨーロッパでは様々な国で開発がなされています。最高速度は時速500kmで、終戦に近くなると時速700km以上の機体が出てきます。日本の戦闘機は、エンジンの出力が低かったため、より早い速度を得るために、徹底的な軽量化と、空気抵抗の低減がなされました。その極みがゼロ戦です。エンジンは1000馬力程度と低出力の栄を積んでいて速度が得られなかったため、徹底的な軽量化とねじに至るまで機体の凹凸をなくして空気抵抗の低減を行っています。更に低翼にすることで更なる機動性が得られ、抜群の加速度、旋回性能、2200kmという長大な航続距離が得られました。性能的には西洋諸国の戦闘機に追いつけました。

ゼロ戦は開戦当初は敵機に後ろを取られた際は、小回りの出来る旋回性能を生かして宙返りを行うことで敵を引き離し優位に戦えましたが、逆に軽量化が仇となり装甲が厚くて重いアメリカ軍機に急降下されると軽すぎてついていけずに逃げられました。最高速度もアメリカ軍機の方が速かったので、一度逃げられると追いつけません。また、アメリカ軍がゼロ戦とのドッグファイトを避け、速度を生かした一撃離脱と二機一組でゼロ戦一機を追い詰めるサッチウィーブ戦法を編み出すことで完全に立場は逆転しました。 これ以降、大戦終了まで性能でアメリカ軍機に勝ることはありませんでした。

零式艦上戦闘機
300px-A6M3_Model22_UI105_Nishizawa
 出典:wikipedia

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ゼロ戦の後継機は紫電改(しでんかい)です。ちなみにファーストガンダムに出てくるホワイトベースの乗組員、カイ・シデンは紫電改をもじって付けられています。アニメでは不甲斐なくセーラさんによくひっぱたかれていましたが、小説版では実はニュータープに覚醒した挙句、シャアの同志になってしまったというアニメと小説では全く扱いが違う人です。その紫電改はエンジンに2000馬力の誉を使用していましたが、初飛行した1944年当時にはアメリカはすでに3000馬力のエンジンを開発していました。

紫電改

Kawanishi_N1K_Shiden

出典:wikipedia 

ヨーロッパでも様々な国が様々な戦闘機を開発しており、ドイツのメッサーシュミット、ハインケル、イギリスのホーカー、スーパーマリン、スウェーデンのサーブなどが戦闘機メーカーとして、ロールス・ロイツやメルセデスなどがエンジンメーカーとして有名です。ソビエトではMigとして知られている、ミコヤンとグレビッチの両設計局がMigの第一号機を完成させています。

MiG-1
MiG-1
出典:wikipedia

重量(全備は全備重量。その他は空虚重量)、馬力、生産数の表

第二次世界大戦
名称 分類 総重量
(kg)
出力 生産数
(機)
一式戦闘機 隼(はやぶさ) 単葉、単発 1,975 1,150馬力 5,751
二式単座戦闘機 鍾馗(しょうき) 単葉、単発 2,109 1,500馬力 1,225
二式複座戦闘機 屠龍(とりゅう) 単葉、双発 4,000 1,080馬力 1,704
三式戦闘機 飛燕(ひえん) 単葉、単発 2,380 1,175馬力 約3,000
四式戦闘機 疾風(はやて) 単葉、単発 2,698 1,825馬力 約3,500
五式戦闘機 単葉、単発 2,525 1,500馬力 約400
零式艦上戦闘機 零戦(ぜろせん) 単葉、単発 1,754 940馬力 10,430
二式水上戦闘機 単葉、単発 1,922 940馬力 327
雷電(らいでん) 単葉、単発 2,539 1,800馬力 621
強風(きょうふう) 単葉、単発 2,700 1,460馬力 97
紫電(しでん) 単葉、単発 2,897 1,990馬力 1,007
紫電改(しでんかい) 単葉、単発 2,657 1,990馬力 415
烈風(れっぷう) 単葉、単発 3,267 2,200馬力 8
メッサーシュミット Bf110 V1 単葉、双発 5,700 約6,000
メッサーシュミットMe210 単葉、双発 (全備)9,750 1,350馬力 約350
メッサーシュミット Me410 単葉、双発 (全備)10,650 1,750馬力 約1,200
フォッケウルフFw 190 ヴュルガー 単葉、単発 (全備)4,063 1,700馬力 約20,000
フォッケウルフ Ta152 単葉、単発 3,920 2,230馬力 約100
ハインケル He 100 単葉、単発 (全備)2,500 1,100馬力 19
メッサーシュミットMe 209 V5 単葉、単発 3,339 1,900馬力
フィアット G.55 チェンタウロ 単葉、単発 2,630 1,475馬力 約300
マッキ MC.202 フォルゴーレ 単葉、単発 2,491 1,175馬力 約1,500
マッキ MC.205 ヴェルトロ 単葉、単発 2,581 1,475馬力 262
レッジャーネ Re.2000 ファルコ 単葉、単発 2,090 1,000馬力 約170
レッジャーネ Re.2001 アリエテ 単葉、単発 2,495 1,175馬力 約250
VL ミルスキ 単葉、単発 2,329 1,065馬力 51
IAR-81 単葉、単発 2,200 1,000馬力 176
ロッキード P-38L ライトニング 双胴、双発 5,800 1,600馬力 9,942
ベル P-39 エアラコブラ 単葉、単発 2,420 1,200馬力 9,584
カーチス P-40 ウォーホーク 単葉、単発 2,810 1,200馬力 13,738
リパブリック P-43 ランサー 単葉、単発 (全備)3,850 1,200馬力
リパブリック P-47D サンダーボルト 単葉、単発 4,800 2,430馬力 15,660
ノースアメリカン P-51D マスタング 単葉、単発 3,460 1,695馬力 16,766
ベル P-63 キングコブラ 単葉、単発 2,892 1,325馬力 3,305
バルティ P-66 ヴァンガード 単葉、単発 2,376 1,200馬力 146
リパブリック XP-72 単葉、単発 5,216 3,000馬力 2
ブルースター F2A バッファロー 単葉、単発 2,146 1,200馬力 509
ヴォート F4U コルセア 単葉、単発 4,074 2,135馬力 12,571
グラマン F4F ワイルドキャット 単葉、単発 (全備)3,359 1,200馬力 7,722
グラマン F6F ヘルキャット 単葉、単発 4,190 2,000馬力 12,275
グラマン F7F タイガーキャット 単葉、双発 (全備)11,670 2,100馬力 364
グラマン F8F ベアキャット 単葉、単発 3,210 2,100馬力 1,266
ウェストランド ホワールウィンド 単葉、双発 (全備)4,621 960馬力 112
ウェストランド ウェルキン 単葉、双発 (全備)7,875 1,250馬力 70
ブリストル ボーファイター 単葉、双発 7,072 1,600馬力 5,928
ボールトンポール デファイアント 単葉、単発 (全備)3,900 1,030馬力 1,065
スーパーマリン スピットファイア 単葉、単発 2,309 1,470馬力 約23,000
ホーカー ハリケーン 単葉、単発 2,560 1,280馬力 14,000
ホーカー タイフーン 単葉、単発 (全備)5,030 2,180馬力 3,330
ホーカー テンペスト 単葉、単発 (全備)5,120 2,420馬力 1,702
スーパーマリン シーファイア 単葉、単発 2,309 1,470馬力 約23,000
ブラックバーン ファイアブランド 単葉、単発 5,150 2,500馬力 220
フェアリー フルマー 単葉、単発 3,955 1,260馬力 606
フェアリー ファイアフライ 単葉、単発 4,254 1,730馬力 1,702
MiG-1 ミーグ・アヂーン 単葉、単発 2,410 1,350馬力 約100
MiG-3 ミーグ・トリー 単葉、単発 2,699 1,350馬力 約3,000
Yak-1 ヤーク・アヂーン 単葉、単発 2,445 1,050馬力
Yak-9 ヤーグ・ヂェーヴャチ 単葉、単発 2,350 1,110馬力
ラボーチキン・ゴルブノフ・グドコフ LaGG-3 単葉、単発 2,620 1,240馬力 6,258
ラボーチキン La-5 単葉、単発 2,605 1,700馬力 9,920
ラボーチキン La-7 ラー・スィェーミ 単葉、単発 2,605 1,850馬力 5,753
デヴォアティーヌD.520 単葉、単発 (全備)2,780 910馬力 437
IK-3 単葉、単発 2,400 920馬力 13
CAC CA-12 ブーメラン 単葉、単発 (全備)3,492 1,200馬力 約250
サーブ 21 双胴・推進式 3,250 1,475馬力 約300
FFVS J22 単葉、単発 2,020 1,065馬力

この時代になると、軒並み重量は2トン、馬力も1000馬力を超えています。生産台数が1万機を超えている機体はさすがに名機ぞろいです。日本ではゼロ戦、ドイツはメッサーシュミットBf109(Bf109はシリーズ全体で3万機以上生産されており、初期の機体は第二次世界大戦前に開発されています。)、アメリカは最高のレシプロ機の誉れ高いマスタングや太平洋を飛び回ったヘルキャット、イギリスではドイツによる本土攻撃、バトルオブブリテンで活躍したスピットファイヤ等どれも有名な機体です。


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双発の戦闘機で有名な機体はアメリカ陸軍の双発双胴のP-38 ライトニングで、開戦当初は日本軍兵士達からペロハチと呼ばれており、落としやすい機体だと言われていましたが、実態は最高速度でゼロ戦をはるかに上回っており、一撃離脱戦法で多くの日本軍機を撃墜しています。グラマン F7F タイガーキャットは双発でありながら艦上戦闘機として採用された異例の機体です。

ノースアメリカン P-51 マスタング

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出典:wikipedia 

グラマン F6F ヘルキャット

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出典:wikipedia 

スーパーマリン スピットファイア

300px-Image-Supermarine_Spitfire_Mk_XVI_NR_crop

出典:wikipedia 

ロッキード P-38 ライトニング

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出典:wikipedia 

グラマン F7F タイガーキャット

300px-Grumman_F7F_Tigercat

出典:wikipedia 

この時代は人類史上最も悲惨な時代であったでしょう。しかし、最初に書いたように戦争は発明の母であることを文字通り体現している時代で、メカ好きにはたまらない時代でもあります。また、戦略においても空からの攻撃と、飛行機を運ぶ空母の重要性による日本の大鑑巨砲主義から空母への方向転換等様々な転機がありました。この時代は戦闘機を初めその発展が多くの人を惹きつけてやみません。

下のグラフはこれまで作られた戦闘機の最大速度を初飛行した年でプロットしてみました。レシプロ機自体は時速950kmあたりが限界で、第一次大戦から第二次大戦にかけて最大速度は950km/hに向かって緩やかに増加し、770km/h付近でジェット機に切り替わりました。ジェット機が出来て、ある程度技術が向上し安定して飛行できる機体ができた1950年以降に最大速度は急激に上昇しています。最大速度競争です。1970年付近になると、速度は2,500km/h位で頭打ちになり、速度以外の運動性や電子機器などの性能向上に注力されました。最高速度に関しては、速度が速すぎると空気との摩擦や抵抗で機体が持たないので、近年でもマッハ2(成層圏付近を飛行した場合で2,160km/hくらい。地上付近だと2,450km/hくらいの速度。)程度の機体が多いです。マッハ3以上で飛行すると隕石の落下と同じ空気の断熱圧縮で飛行機の外壁が高温となり主として用いられているアルミ合金だと、融点が低いので溶けてしまう危険があります。

無題

下は各戦闘機の上昇速度のグラフです。第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけて上昇速度の向上はほとんどみられません。レシプロ機での上昇は非常に難しいのがわかります。1950年以降は爆発的に向上しています。プロペラで進むのと、燃焼ガスを噴出して進むというエンジンの推進構造の差が顕著に見られます。1970年以降は上昇速度は緩やかに向上していますが、一方で最高速度は向上していません。その分、加速の向上や翼の形状をクリップトデルタ翼等のデルタ翼にして運動性能を向上させています。

無題2

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