白虎:四象で唯一凶性を持ち邪を屠る勇猛な武神

四神とは、古来中国の神様を護る、青龍、朱雀、白虎、玄武のことを指します。四獣や四象(陰と陽からそれぞれ生み出される、少陽、老陽、少陰、老陰の意。この四象からそれぞれ陰と陽が生み出されて八卦をなします。)とも呼ばれ、季節や方角といった属性を持ちます。

四神は元々は、中国の古代の神様、三皇五帝の内、五帝を守護する役目を持つとされており、五帝のいるところから東西南北をそれぞれ護っています。今回ご紹介する白虎は西の方角を護っています。
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他の四象に黄龍を加えた神獣の陰陽五行学説中の属性は以下の通りです。

日本の漢字 読み 中国の漢字 読み 守護している方角 司る季節 象徴する色 五行
青龍 せいりゅう 青龙 チンロン 緑(青)
朱雀 すざく 朱雀 ジュチュエ 赤(朱)
白虎 びゃっこ 白虎 バイフー 西
玄武 げんぶ 玄武 シュエンウー
黄龍 こうりゅう 黄龙 ホアンロン 中央 土用 黄色

中国の四神のお話の第二回目は幕末の悲劇、会津藩の白虎隊の名でも有名な白虎(びゃっこ)です。ちなみに、会津の白虎隊は、17歳以下の会津藩士から構成されていました。隊士は新政府軍と戦って最後には自決するという若い命が散っていった悲劇です。白い虎ならアルビノ(メラニン色素を作る遺伝子が壊れている遺伝子疾患)の虎として見られる動物園もあると思いますが、こちらの白虎は神獣です。

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白虎は他の青龍や朱雀、玄武などと同じく陰陽五行から生まれた神獣です。他の神獣と同様に方角と季節を司り、ガンダムのエースパイロットの如く、専用カラーを持っています。朱雀は赤で、赤い彗星のシャア、真紅の稲妻のジョニー・ライデンとすれば、白虎は白で、白狼シン・マツナガでしょうか(狼なのですが)。というようなマニアックすぎる話はおいておいて、今回は白虎です。早速見てみましょう!

  • 白虎の概要 (びゃっこ bai2hu3 バイフー)

能力値:戦神だけあって戦闘は非常に高いです。軍神として信仰されているので信仰もそこそこ高いですが、パワー系で凶暴なイメージです((;゚Д゚))

中国の古代神話中で、妖邪達を最も恐れさせた、法力無限の四大神獣は、青龍、白虎、朱雀、玄武の四獣です。西は白をなし、故に白虎は西方の神様で、青龍とともに邪を沈める神霊です。同時に白虎は戦いの神でもあり、邪を寄せ付けず、災いを払い、悪を懲らしめ善を高揚し、財を呼び込み富を成し、良縁を結ぶなど多種多様な神力を持つので、権勢や尊貴の象徴となっています。




中国の伝統文化中では道教の西方七宿星を司る四象の一つで、五行学説によれば、白虎は西方を代表する霊獣で金に属し象徴される色は白であることから白虎と称し、司る季節は秋となっています。その他の四神では、青龍は東方で季節は春、朱雀は南方で季節は夏、玄武は北方で季節は冬に属しています。

二十八星座の西方の七星座(奎、婁、胃、昴、華、觜、参)を司り、その形は虎で、方角は西、金の属性を持ち、戦いを行い、白色の神獣を白虎と称します。

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  • 白虎とは?

《太上黄箓齋儀》の四十四巻では、白虎を形作っている西斗星君の七星座を”奎宿天将星君、婁宿天獄星君、胃宿天倉星君、昴宿天目星、華宿天耳星君、觜宿天屏星君、参宿天水星君”と称しました。その形は《道門通教必用集》七巻には、”西方白虎の上には觜星があり、英気にあふれ、粛々と音は静かで、咆哮は山林を動かし、我の左に立つ。”とあります。要するに星座の形状から想像すると強そうな感じに見えるということです。

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また、凶神の形象もあり、《協紀辨方》三巻には《人元秘枢経》を引用し、”白虎は年中では凶神なり、常に年の後ろの四辰に居る。居住の地は災いが訪れ、主には喪服が必要な災いが訪れる。”とあります。即ち俗に言う”喪門白虎”或いは”退財白虎”です。十二主星宿中の記載によれば、”白虎は凶神で堂に座している間、必ず災いが起こり、内にも外にも孝は現れず、流血は避けられない。”とあります。パワー系で切れたら結構何するかわからない感じですね((;゚Д゚))




《史記 天宮書》には、”東宮蒼龍、南宮朱雀、西宮咸池、北宮玄武”とあり、この中には白虎ではなく咸池となっています。咸池は主に五穀の星であり、五穀は秋に収穫されるため、主に秋を象徴しています。それで、咸池は秋の象徴となりましたが、咸池は動物ではありません。白虎は古くは虎ではなく池だったのです。では、どのようにして池から虎になったのでしょうか?

宋代に提出された質疑に、”蒼龍、朱雀、玄武は七宿を合わせたものを言うが、咸池に関しては、他の一星座のことで、二十八星座以外である。咸池には別の解釈があり、即ち太陽の洗浴所である。《淮南子.天文篇》には、日は暘谷から出て咸池に沈み、扶桑で浴するこれ晨明というなり。”とあります。咸池は元々は羌人が日の出の場所を見て、咸池は日の出る場所、即ち岷山地区にある碱水湖もしくは青海である、としたことに由来していると考えられています。咸池とは伝説上の池のことで、太陽が沈む西の方角にあると伝えられてきました。

大昔の人々は、天空の星座の崇拝対象には青龍白虎の観念はありませんでした。《礼記 礼運》 には、”麟風亀龍は四霊という。”とあり、動物に属さない咸池は麒麟に変わっています。後世では四霊には麟、四象には虎とする習慣がありました。池ではどうしてもしっくりきませんし、そもそもどうやって現れるのかイメージできません。当然と言えば当然ですが、咸池は他の霊獣に置き換えられることになります。それが麒麟であったり白虎であったりしました。つまり、四霊は青龍、麒麟、玄武、朱雀で四象は青龍、白虎、玄武、朱雀ととらえられていた時期があることになります。《風俗通義》には、”虎は陽で百獣の王也、威勢を挫き、鬼魅に喰らう”とあります。漢代の五行の観念中で、白虎は西方の神獣とみなされるようになりました。時代を経て最終的には白虎が四象の座を勝ち取ったのです。

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中国の四聖獣の中で、龍とよく対比されるされるのが”白虎”です。虎は百獣の王で、その猛威と伝説中の妖怪を打ち滅ぼす能力により、陽の神獣とされるようになり、よく龍と一緒に出てきます。”雲は龍から、風は虎から”といい、魔物たちが最も恐れる存在となりました。




白虎は戦神でもあり、殺伐の神です。邪を寄せ付けず、災いを払い、悪を懲らしめ善を高揚し、財を呼び込み富を成し、良縁を結ぶなど多種多様な神力を持つので、権勢や尊貴の象徴です。また、四霊の一つで、二十八星座中で、西方七星座の奎、婁、胃、昴、華、觜、参が変化したものなので、西方の代表となり、色は白です。西方は五行では金に属し、その色は白なので、白虎に関連付けられました。白虎とは、五行の西方の色である白に由来しており、白虎の白は色が白ということに由来しているのではありません。

  • 白虎の象徴するもの

白虎は武威と軍隊を象徴し、そのために古代では白虎の名を冠した地方は軍事に関連していたことが多く、古代の軍隊では旗と兵符に白虎が描かれていました。会津の白虎隊の名称も軍神にちなんで名づけられたのでしょうか。最古の白虎は一般には漢代の石墓の墓門の上の絵として出土しました。或いは、邪を避けるために墓室の梁の両側に青龍と共にそれぞれ彫られていました。

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  • 宗教に関して
道教が興って以降、龍虎は道家の煉丹術語に用いられるようになりました。即ち、”鉛水銀、坎离、水火、陰陽”などです。また、白虎は戦神でもあるので、唐代の大将、羅成、薛仁貴など多くの猛将たちが白虎に例えられました。この他にも、白虎は道教に取り入れられ神格化され、各廟の門神とされるようになりました。

道教中の青龍と白虎を含む四霊がその他で使用される例として、風水師がお墓に適する場所を探す際に、前方の左右両辺に突起のある地形をお墓に適する地形とし、その地形を独特の名前で呼ぶことがあります。即ち左を青龍、右を白虎と称し、護衛の意を成し、邪霊を鎮めるとしています。漢代の人は、虎を百獣の王とみなしました。白虎は虎が500年生きて白い虎に変わった神物で鎮西の獣となり、仙人がこの虎に乗って天を行き来すると言われています。




漢代以後、虎は民衆に愛される守護神となりましたが、帝王の象徴とはなりませんでした。昔の人の心の目には、虎は恐怖の対象と敬う対象に写りました。恐怖とは、虎は人や家畜を襲って食べるからです。敬うとは、その比類なき勇猛さで、邪を避けるとされたからです。一冊の古書中、東漢の応劭の《風俗通義 祀典》には、”門に虎を描くと、鬼は恐れ入れず。”、”虎は陽、百獣の王なり。鬼魅に噛み付き食らう。人々に災いが訪れたときには、焼いた虎の皮を飲む。その爪の一撃は悪を避ける。”とあります。昔の人は、白虎を祥瑞(めでたい事)であると考えていました。

方角と神獣は何度か変更されたようで、部族間闘争の移り変わりと共に、西方の龍が東に、東方の鳳が南に、南方の虎が北に移るというかなり大きな地域を巻き込んで観念の変化が起こったこともあったようです。漢代の五行が統一的思想となり、そこで玄武が出てきて四方の神の配置が完成しました。最終的には東が青龍、西が白虎、南が朱雀、北が玄武、中央が黄龍という今の配置で落ち着きました。

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出典:baike.baidu.com

四神を歴史的に見ると、皇帝の意向や思想の移り変わりなどで象徴する方位や動物も色々と変わっています。白虎の地位は元々池だったことには驚きです。しかし、白虎が金属性であることにはいまいち違和感を覚えるのは私だけでしょうか。金属性で似合うのはメタルスライムや黄金虫など身体の表面がつやつや光っているものでしょう。玄武の甲羅がメタリックですといかにも強そうですね( ´∀`)

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